8月のビール各社の概況、多雨や天候不順が影響、単月、累計とも減少傾向

2015年09月25日

 ビール各社は、ビール、発泡酒、新ジャンル酒類の8月の販売動向について発表した。それによると単月では、多雨や台風など天候不順の影響を受けマイナス傾向となり、1―8月累計は市場全体で約2%のマイナスを示した。

 ビール各社の動向は次のとおり。

 【アサヒビール】ビール類トータルで単月は前年並みを示し、累計では2%減と前年を下回った。

 ビール合計は単月で前年並み、累計で2%減となった。「スーパードライ」計は単月で2・0%増となったが、累計では2・5%の減少を示した。8月18日に発売した秋限定「スーパードライ・スペシャルパッケージ」はすでに9月末までの販売目標30万ケースを上回り、36万ケースとなった。

 発泡酒計は単月で5%減、累計で2%増。「スタイルフリー」計は、単月で12・1%増、累計で7%増となり、5カ月連続で単月・累計ともに前年を上回った。

 新ジャンル合計は単月は前年並み、累計は1%減となった。「クリアアサヒ」計は、単月で23・9%増、累計で10・1%増を示し、こちらも5カ月連続で単月・累計ともに前年を上回った。

 【キリンビール】ビール類は、下旬の天候不順が影響し1%のマイナスを示した。

 ビール計は1%増。「一番搾り」計は業務用営業の継続的な強化や舞エージキャンペーン効果による缶の好調で4%増のプラスとなった。

 発泡酒計は6%のマイナスとなった。健康志向の高まりを背景に、同社機能系主要商品計は15%増と好調に推移した。

 新ジャンル系は前年並みを示した。「のどごし」計は9%のプラスとなった。

 【サントリーホールディングス】ビール事業の販売数量は、1―8月累計で前年並みとなった。

 「ザ・プレミアム・モルツ」は、販売数量1113万ケースで前年並みを示した。なかでも中元ギフトは、「マスターズドリーム」などが好調で販売セット数が12%増となり、ビールギフト市場をけん引した。

 「金麦」シリーズは、2424万ケースで2%増となっている。「金麦」本体で檀れいさん主演のテレビCM「夏の鳴きまね」篇を投入するなど、積極的なコミュニケーション活動を展開した。

 【サッポロビール】ビール全体の販売数量は天候不順の影響を受け、単月では約5%減、累計では約6%減とともに下回った。

 ビール計は、単月・累計ともに前年を下回った。「黒ラベル」計は、単月では0・3%増、累計では0・8%減を示した。「ヱビス」ブランド計は、単月では2・4%減、累計で3・1%減を示した。

 新ジャンルは、主要商品「麦とホップ The gold」が単月・累計ともに下回った。

 【8月の統括】8月単月は、上旬~中旬は猛暑効果もあったが、下旬の天候不順が影響し、ビール類全体に影響を与えた。需要期である8月のマイナスは、通年の数字に大きな影響を与えることが予想される。中元ギフトの活性化やプレミアムビールの貢献などプラス要因もあったが、「双方ともそろそろ失速してきた」との業界関係者の見解もある。秋冬商戦の中で、ビール類がどこまで善戦できるかに期待したい。