オエノンHDが北の誉酒造を子会社に

2007年02月14日

 【札幌】オエノンホールディングスの田中時信代表取締役会長は2月9日、札幌グランドホテルで記者会見し、北の誉酒造(小樽市、野口禮二社長、資本金3億500万円、18年9月期売上高10億4100万円)の株式を買い増し、その過半数を取得して子会社にすると発表した。
 同社は以前から7・7%を北の誉酒造に出資しているが、3月末をめどに約370万株を買い増すことで、持株比率が過半数を超えることになる。これと同時に、北の誉酒造が55・3%の株を保有している越の華酒造(株)(新潟市)は連結対象となる。
 オエノングループの清酒事業の現況は、合同酒精をはじめ、平成13年に福徳長酒類および秋田県醗酵工業、15年に富久娘酒造をグループの一員として迎えるなど徐々に規模を拡大し、基盤となるブランドをはぐくんできた。ナショナルブランドの「富久娘」や「大雪乃蔵」など特定名称酒を中心とした高付加価値の商品展開から、手軽なパック酒まで幅広いラインアップを取り揃え、平成18年度のグループ清酒事業の売上高は約82億円になった。
 ここ数年、全体的に低迷傾向にある清酒市場だが、その地方ならではの米や水で造り、蔵の個性が発揮できる地酒の人気は高まっている。食に対してこだわりを持つ人たちが増え、好みが多種多様するなか、オエノンホールディングスは、旭川「大雪乃蔵」、八戸「南部蔵」、秋田「一滴千両」などの酒どころで地酒ブランドを展開し、市場にニーズに応えてきた。
 北の誉酒造との関係は約1世紀にもなる。大正13年、オエノンホールディングスの前身である神谷酒造が道内の焼酎メーカーと合併し、合同酒精となった際には、北の誉酒造の創業者一族である野口家が多大に尽力した。まさに北の誉酒造は合同酒精の原点とも言える。
 田中会長は「北の誉酒造のグループ化により生み出されるビジネスチャンスは、北の誉ブランドが知名度が高いことで基幹商品となりうる高付加価値商品のラインアップを拡充することが可能になり、利益や売り上げへの貢献が期待される。販売については、道内は引き続き北の誉酒造が行い、道外はオエノングループの販売網を生かすことで、これまで以上の販売拡大が見込まれる。生産面では、各機能を相互に活用することで、原材料や製造コストなどを大幅に削減でき、シナジー効果を最大限に発揮することができる。オエノングループは、顧客志向と収益志向を経営方針に、連結売上高1000億円、経常利益50億円を目標にしている。食品メーカーとして、きめ細かなサービスと、安全で安心な商品を届ける」と述べた。
 また、北の誉酒造の野口社長は「今後当社はオエノングループの一員として、同社が率いる強力な持株会社体制の下、機動的かつ効果的な事業運営を実行していく。当社は、オエノングループという後ろ盾を持ったことで、両社が保有する技術とノウハウ、オエノングループが持つバイイングパワーやファイナンス機能を活用し、業績向上に努める」と語った。
 なお、オエノングループの取得株式数は371万6710株で取得価額は未定。異動後の所有株式数は418万6710株で、所有割合は68・6%となる。
 連結業績の見通しについては、平成19年12月期の売上高は770億円(前年同期729億6600万円)、経常利益は28億円(23億5600万円)、当期利益は10億円(8億8300万円)としている。