『グルメシティ長崎協議会』設立

2023年06月08日

 【長崎】『グルメシティ長崎協議会』の設立総会が5月28日、長崎市の稲佐山観光ホテルであった。協議会が目指すのは〝ミシュランの街〟づくり。「多様な食文化や豊富な水産資源など恵まれた食環境にある長崎は、まさにグルメシティで、一つの目標がミシュラン星付きのお店を増やしていくこと。ミシュランは、遠方からわざわざ出向いてでも裏切らないクオリティが担保されており、そのような店舗が増えることは交流人口の拡大に直結する」としている。

 協議会会長は、台湾料理レストランを展開する㈱老李グループジャパン(長崎市)代表取締役の李宗賢氏。

 協議会は「長崎県内で飲食店を運営する法人または個人」を正会員、「食材料飲メーカー、加工業、水産農林業、他賛同者」を賛助会員とし、両会員募集を同日から始めた。ビールメーカーなども関心を示しているという。

 食を起点に関係業者の連携を広げて強め、地方創生にまでつなげる発想のよう。「感染症による影響から、長らく飲食業界、観光業界も厳しい状況が続いていた中、ようやく街にも活況が戻りつつある。しかし、将来的に見ると、人口減少や少子化などの影響により、地域経済の急速な縮小化が進んでおり、依然厳しい状況には変わりない。そのような中、経済の縮小化に歯止めをかけるべく、新しい経済団体を設立することになった。飲食業界を中心に、観光業界、生産者等の民間事業者がスクラムを組み、さらに官庁や自治体とも連携を図ることで、これまで以上に食と観光を結びつけ、食を通じた交流人口の増加、また食のブランド価値向上を促すことで、地域経済が潤い、さらには将来的に働く人たちが増えることで定住人口が増加し、人口減少に歯止めをかけることができれば」という。

 以下事業を行うとしている。①県の物産ブランド推進課やDMO NAGASAKIと連携し、県内外への食の情報発信を推進②市の「さしみシティプロジェクト」や「長崎かんぼこ王国」等で他の民間団体と連携し、食のブランド化を推進する③行政所有の残地等を活用し、県産品のキッチンカー提供や規格外食材の販売等を行う④行政発信の食や観光情報を一元的にまとめ、その情報を飲食店等の個店レベルでも共有する。逆に個店レベルの意見や情報を行政とも共有し、民官での情報の双方向化を進める⑤飲食業界全体の底上げを目指した勉強会を開催。経営的技術的な学習を通じミシュランレベルの飲食店を増やしていく⑥生産者や食品メーカーと飲食店との情報を緊密化し、新商品やサンプル情報、B級品の情報等を共有化していく。

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 同地には酒類業界が係わる『一般社団法人 長崎県飲食観光業盛り上げ隊』(事務所・長崎市、渡部孝代表理事=ニクヨシ執行役員社長、大場信之専務理事=富士見町大場酒店代表)がある。

 同法人は、県内の〝納め〟の業者で組織。飲食店や宿泊・観光施設、葬祭に酒や花、肉、魚、麺などを納入する事業者から成り、令和4年5月設立以来、活動を継続している。県の飲食観光業の振興を目指すもので、コロナ禍の影響による苦境を納め業者の連携で乗り越えようとするものだ。

 県特産としては日本酒や焼酎、生花、青果などがあり、長崎和牛は日本一〈第10回全国和牛能力共進会「肉牛の部」〉。日本一といわれる魚種〈250種以上〉の水産業、養殖業、製麺業も誇るべき産業だ。

 飲食店を舞台に以下、実施している。▽花を眺めながら、花のカクテルを味わう長崎の粋な夜=バー等で花を飾り、その花にちなんだカクテルを提供。県産ジン・リキュールメーカーともタイアップ▽魚のうまいまち長崎は日本酒もうまい=刺身盛合せと県産日本酒のコラボでメニュー提案▽これぞ至福のとき=県産鶏肉・豚肉・和牛と県産焼酎のコラボセットをお薦め▽おでんが旨い長崎かんぼこ=かまぼこが入ったおでんを県産酒と一緒に楽しんでもらう。

 酒販店経営の大場さんは「コロナで苦しい納めの業者は当法人会員にとどまらない。賃上げというが我々には上げるベースが無い。声を政治にも届けていきたい」と話す。2024年物流問題に触れ「運賃は上がり、地元の食材、お酒を使わないとコストアップになる。地元のものを使い消費することでSDGs、地産地消につながっていく」とも。さらに長崎市街地は地価が高く空きテナントが増えていると指摘。「大きな改革をしないと、大きな経済浮揚とならない。賃貸料を一定額に抑えた場合、固定資産税を減額するなど、飲食店等の家賃負担の軽減も課題だ」と話している。

 『グルメシティ長崎協議会』と目指すものは重なるとして「両輪として活動を推進していきたい」という。