日本蒸留酒酒造組合 通常総会を開催

2023年06月06日

 日本蒸留酒酒造組合は5月29日、第51回通常総会を開催し、上程の議案を審議、可決した。任期満了に伴う役員改選では、村田謙二理事長を再選(3期目)した。

 村田理事長は冒頭のあいさつで要旨、次のように話した。

 村田理事長

 新型コロナウイルス感染症の分類が5月8日に2類から5類へと移行した。今日で3週間が経過したが、インバウンドの回復も含めて観光地や飲食店に人出が戻りつつあり、酒類の消費も地域により温度差はあるようだが、少しずつ回復を実感しているところだ。

 一方で、昨年2月に始まったウクライナ問題や円安などの影響で、従来から見られた原材料費や燃料費の高騰が加速し、また、世界のサプライチェーンがこれまでのようには機能しないことがあるなど、先の見えない大変厳しい状況にある。特に蒸留酒業界では、焼酎甲類の原料である粗留アルコールの価格がここ2年で2倍近くにも高騰している。このような状況の中、多くの企業か価格転嫁を行ってきた。価格が上がったことで、どれほど需要が減退するかと、とても不安な部分はあるが、少しでも改善できるよう、蒸留酒組合ではPR活動の強化を図っていきたいと思っている。

 蒸留酒組合が行うPR活動は、今年度もレモンサワーを中心に焼酎甲類の持つ純粋性、多様性、健康性を訴求し、需要拡大と付加価値の向上に向けて積極的に実施する。

 広告タレントには、昨年度に引き続きお笑いタレントの狩野英孝さんを起用した。従来から行っているTVCM、SNS広告、プレゼントキャンペーンに加え、今年度は新たな試みとして狩野さん本人に出演してもらう「焼酎甲類乾杯ライブ」を組合公式ユーチューブチャンネルで生配信する。この企画により焼酎甲類の認知がより広く拡散することを期待している。

 また、支部の活動においては、コロナ禍の3年間は対面での体験型イベントを中止していたが、今年度からはこうしたイベントにより、消費者との対話によるファン作りを再開していきたいと考えている。

 もう一つ重要な課題は公正取引の推進だ。昨年、「酒類の公正な取引に関する基準」が5年ぶりにに改正され、6月から施行された。そしてこの基準が原料費高騰などに起因する価格転嫁を行うにあたってわれわれの大きな後ろ盾になったことも事実だ。これからも、われわれを取り巻く環境変化が予想されているが、こんな時こそ、公正取引の重要性を理解し、当局の協力も得ながら全組合員の力を合わせて活動を推進していく。