飲食店舞台にコラボ企画 長崎県飲食観光業盛り上げ隊

2023年03月15日

【長崎】「一般社団法人 長崎県飲食観光業盛り上げ隊」(事務所・長崎市、渡部孝代表理事=ニクヨシ執行役員社長、大場信之専務理事=富士見町大場酒店代表)の役員が3月8日、長崎県庁で会見を開いた。同法人は、県内に事業所(本社)を有する『納め』の業者で組織。飲食店や宿泊・観光施設、葬祭に酒や花、肉、魚、麺などを納入する事業者から成り、令和4年5月設立以来の活動を報告するとともに、会員加入を呼びかけた。県の飲食観光業の振興を目指すもので、コロナ禍の影響による苦境を『納め』業者の連携の拡大強化で乗り越えようとするものだ。

法人設立にあたり「長崎県の看板産業ともいうべき飲食観光業を後方から支えている、私たち『納め』の業者は、感染症拡大防止の役割を後方から担いながらも、経済低迷の影響を大きく受けている。このような環境の中、存続すら危ぶまれている多くの仲間とともに、将来に向けた新しい活動の一歩を踏み出すことにした」と表明。同県特産としては日本酒や焼酎、生花、青果などがあり、長崎和牛は日本一〈第10回全国和牛能力共進会「肉牛の部」〉。日本一といわれる魚種〈250種以上〉の水産業、養殖業、製麺業も誇るべき産業だ。「私たちはそれぞれの業界の実働部隊。長崎県産品の魅力を県内外に発信し、行政の力も借りながら知恵と力を集結して、長崎県経済の縁の下の力持ち的な働きを拡大していく」と目標を示した。

これまで同法人会員46社、主に長崎市内の広告参加飲食店97店で活動してきた。「長崎市商店街等にぎわい復活支援事業」補助金などを活用し、舞台は飲食店。企画に併せ県産蔵元の紹介も重ねてきた。

〝花を眺めながら、花のカクテルを味わう長崎の粋な夜〟では、バー等で花を飾り、その花にちなんだカクテルを提供。県産ジン・リキュールメーカーともタイアップした。〝魚のうまいまち長崎は日本酒もうまい〟は刺身盛合せと県産日本酒のコラボでメニュー提案。〝これぞ至福のとき〟では県産鶏肉・豚肉・和牛と県産焼酎のコラボセットを楽しんでもらった。〝おでんが旨い長崎かんぼこ〟は、かまぼこが入ったおでんを県産酒と一緒に楽しんでもらう趣向だ。いずれも現在進行形だという。

また昨年9月、西九州新幹線開業記念「長崎『食』の博覧会」に同法人として出展した。

酒販店経営の大場さんはコロナ禍で、酒類売上が業務用ではゼロ、全体で60%減まで落ち込んだことがあったと明かした。「良くてコロナ前の80~90%。今後も大きな期待は持てない。声を上げないだけで、コロナで苦しい『納め』の業者は当法人会員にとどまらない。賃上げというが我々には上げるベースが無い。声を政治にも届けていきたい」と話した。2024年物流問題に触れ「運賃は上がり、地元の食材、お酒を使わないとコストアップになる。地元のものを使い消費することでSDGs、地産地消につながっていく」とした。さらに長崎市街地は地価が高く空きテナントが増えていると指摘。「大きな改革をしないと、大きな経済浮揚とならない」と語り、賃貸料を一定額に抑えた場合、固定資産税を減額するなど、飲食店等の家賃負担の軽減も求めていく考えを示した。今後の取組については、美味しいものが食べられるマップ制作配付、新名物メニューの開発普及などの検討を挙げた。

大村湾漁業協同組合・松田孝成組合長は「美味しい魚は福岡、関東関西へ送ってしまう。長崎には美味しい雑魚がたくさんあるし、魚食普及は地域振興になる」と話した。

渡部代表理事は「他県から羨ましがられるほどの長崎県の観光資源をもっとアピールしていけば、納め事業者のメリットにもなる。納めの業者は利が薄く、売上が10%落ちると損益分岐点を割ってくる。3年で随分足腰も弱くなり、少しでも押されれば倒れてしまう現状の中、飲食店と一緒に頑張って何とか這い上がりたい」と訴えた。