【福岡】福岡県小売酒販組合連合会（会員19単会〈県内小売酒販組合〉、村上栄司会長、事務局・福岡市博多区）が２月24日、同区のオリエンタルホテル福岡 博多ステーションで第70回通常総会を開催し、令和５年度「一般会計」予算案（５年１～12月、収支１億７６３２万８９２２円）など上程全議案を可決承認した。
当局や生販組合代表など来賓を招き、懇親会も催す形での開催は３年ぶり。予算では県内単会に対し９００万円規模の「コロナ対策・組合事業持続化給付金」支出を継続。組合運営が窮状にあるなか打開策の一つとして県内単会の統合等があり、村上会長は国税庁改正通達を評価した。通達は「組合の地区」接続しない地区の禁止（相互に接続しない地域を組合の地区とする場合には、承認は与えない）を削除するもの。
県下19単会・総組合員数は令和５年１月１日現在〈休業者除く〉１１９６者で、前年度１２７３者に比べ77者減少した。各単会組合員数は、▽福岡67▽西福岡76▽博多72▽香椎22▽糸島24▽筑紫76▽門司43▽小倉１２２▽八幡98▽遠賀若松63▽京築65▽田川70▽直方42▽飯塚56▽甘木43▽久留米68▽八女70▽大牟田83▽大川36。
県連予算は不動産売却益を繰り越しているもので、コロナ下においては単会及び全組合員に対し緊急見舞金として令和２年度３６３８万円、３年度１９００万円支出。４年度は「コロナ対策・組合事業持続化給付金」名目で９５０万円〈１単会50万円×19〉を支出している。令和５年度は９２８万８０００円〈１単会30万円×19、１組合員３０００円×１１９６〉の計上。
村上会長は「節目の第70回。アルコール飲料がコロナ禍の元凶のように見られた時期があり、喜ばしくないことだったが、総会が開ける懇親会も開けることは大変良いことだと思う」と話した。組合運営に関しては「少しずつウイズコロナにも慣れ、生活もコロナ禍以前に戻りつつあるようだ。今日も博多駅は結構な人でにぎわっていた。しかしながらその間にも組合員の高齢化は進み、今年の10月にはインボイス制度が開始される。キャッシュレス決済も大幅に進行している。そういう対応が難しい組合員もいるので廃業等が一段と進むのではないかと危惧している。先を見据えることが大変難しい時期でもあり、山積する組合の課題と真摯に向き合い、皆様方と共に次の10年へバトンを繋げていきたい」と述べた。懸案問題となっていたデジタル庁見直し案「現行１つの販売場に１名の酒類販売管理者を選任することが義務付けられているが、他の販売場との兼任を可能とすることでデジタル化を推進すべき」が無くなった、との報告も。さらに「接続しない組合は承認しない通達が削除され、今後は簡単に言えば、接続していない組合とも一緒になれる。私は県内の統合等を進めていきたいと提案したが、なかなか難しい問題があり進んでいなかった。一つハードルが低くなった」とした。
令和５年度事業計画では現況を「酒類提供の自粛期間が長期化したことなどにより、行動制限が緩和されても生活スタイル、巣ごもり需要など消費活動等の変化により酒類需要はコロナ以前の水準には回復せず、酒類小売業の経営にも大きなダメージとなり、将来に対する不安は依然として払拭されていない」と指摘。また酒類の公正取引に係る改正法施行に触れ「過度な価格競争の防止のために基準の遵守・早期定着に向け引き続き働きかけを行わなければならない」と強調した。
社会対策事業「20歳未満飲酒防止・飲酒運転撲滅」キャンペーンは、今年は４月７日にＪＲ博多駅周辺で実施する。
組織維持活性化に関連し「酒類業組合法第92条に基づく交付金の交付実現の推進」が課題とされており、鈴木孝義理事（田川組合）が問うた。92条は「国は、酒類業組合等に対し、その事務に必要な使用人の給料、帳簿書類の購入費、事務所の使用料その他欠くことのできない事務費を補うため、予算の範囲内において、交付金を交付することができる」というもの。「政治連盟の会合が６回ほど開かれているが、一向に進行していないのが現実。速やかに実行願いたい」との訴えに対し、村上会長は「要望として上げても予算が付いていない事項については相手にされない」と答弁。鈴木理事は地元の議員を含め「力のある政治家に働きかければ予算化できる。動いてくれる」とあらためて実現への取組を要請した。
ほか、久間生樹信理事（筑紫組合）が「（資産は）毎年１０００万円ほど減っている。大きなお金があるのだから投資してはどうか」と提案。村上会長は「低金利も終わりそう。出来るだけ安全な投資があれば」と検討の意向を示した。酒類販売管理研修の収支が受講者減で厳しい状況だとし意見交換も行われた。
福岡国税局・川浪悟酒税課長、福岡県酒造組合・江﨑俊介会長、九州北部卸酒販組合・今泉三千俊理事長が臨席した。