天吹酒造 『新春 蔵開き』を開催

2023年02月21日

 【佐賀】花酵母で醸す日本酒蔵、天吹酒造(あまぶきしゅぞう=三養基郡みやき町、木下壮太郎社長)で2月11・12日『新春 蔵開き』があり約400人が来場した。創業元禄年間(1688年頃)の蔵元。国の有形文化財、また22世紀に残したい佐賀県遺産登録の酒蔵を擁す。イベントは2年ぶりの開催。人気企画の「Premium角打ち」は三密を避けるため事前時間予約制とし、満席完売した。蔵元は福岡県境にあり久留米市街地から車で10分ほど。酒蔵見学が行われ、クラフト作家展も催された。オンラインイベントを同時開催した。

 Premium角打ちは各日12回・各回25分〈参加有料500円〉。各回定員12人。適量飲酒のため2回連続での参加は控えてもらった。今回は▽1杯目『2023新春蔵開き限定酒』原料米寿限無・酵母バナナ=アルコール度数12度の甘くトロみのある味わいと熟成バナナのような香りが心地よく感じられる▽2杯目『新酒 純米吟醸 雄町 生』雄町・なでしこの花=口に含むと上立ち香の印象そのままの甘旨味が広がり、ほどよい渋みを感じさせながら優雅に消えていく後味▽3杯目『さくら小雪』なつほのか・桜の花/いちごの花=鮮やかなサクランボのような桜色、柑橘系や林檎の香り、絹のような舌ざわり、そして余韻が長く続く、もしくは『純米吟醸 Defi』寿限無・オシロイバナ=アメリカンオーク樽で2年間熟成、初めて出会う味と香り。

 ワイングラスで3種をじっくり、案内役の蔵人らとの対話も重ねながら楽しむ。コロナ以前は参加2時間待ちとなったこともあったから、事前予約の方が良いとの声も聞かれた。新たなスタイルはいわばコロナで生まれた産物で、イベント運営の改善につながったようだ。

 純米大吟醸などの仕込み真っ只中。佳酒が育まれゆく現場に立ち会う臨場感も醍醐味の一つだ。

 鏝絵(こてえ)が映える、明治期建造「風神蔵」の蔵内を、木下武文会長らが案内し、月下美人の花酵母で仕込んだ、醪日数が異なるタンクの中を見てもらった。もちろん香りが先に来る、印象的な体験だ。

 独特の緊張感が漂う静寂の空間。小仕込みタンクの醪からは酵母躍動の音まで聞こえ、みな芳華な香りに驚かされる。「日本酒は何のために造られるようになったのか。神様にお供えし五穀豊穣などをお願いするため。だからご多幸を祈念する乾杯は日本酒でなければならない」「麹菌には口も歯もないが、お米を溶かす酵素をつくり成長する」「お酒造りには酵母も欠かせない。花から見つけた酵母でお酒を造っているが、香りのいいお酒を造るのが得意な酵母、味わい深いお酒を造るのが得意な酵母など色々」「お酒を辛口にするにはどうするか。酵母さんにいつもより5日間残業してもらい糖を食べてもらう」。お酒は百薬の長。飲酒に対する過剰な萎縮も心配だ。1合の日本酒を分解するのにかかる時間は4時間で、もっとかかると思っていた人から驚きの声が上がった。

 クラフト作家展では、革細工・彫金・草木染・吹きガラスなどの作品、こだわりのお茶・コーヒー・紅茶・野菜・自然食品などが即売された。つくり手との対話でも潤う、感性に響く空間が毎回醸される。

 おうちで飲みながら参加できるオンラインイベントを12日、現地で同時開催した。日本全国のお酒やオンライン酒蔵見学が楽しめるプラットフォームサービス「蔵開き.jp」〈運営・シュンビン㈱=本社・京都市、福岡オフィス・福岡県糸島市〉を利用。事前に試験醸造酒やSAKURA-KOYUKI、樽型おちょこ、蔵開き.jp SAKEトートバッグなどのセットを購入してもらい実施した。

 酒蔵見学をしてもらい、お酒の紹介から乾杯。木下社長も登場し、サンプル酒を入れたスーツケース一つで世界へ飛び出した、海外販路開拓の苦労話なども語った。

 蔵開き来場特典で会費・定員制「春の大試飲会」入場チケットの先行販売も行った。今酒造期に醸した酒を一堂に揃え酒肴持込み自由で楽しんでもらう企画だ。今年は5月13日。木下社長は従来の形で開催できるだろうとの見方を示した。