ヤマエ久野熊本支店・常楽酒造・ウシジマ青果『だるまみかんのお酒』

2023年02月01日

 【熊本】県内企業によるオール熊本商品『だるまみかんのお酒』が1月17日発売され同日、熊本市のゆめマート清水店でPRイベントが行われた。3者コラボ=ヤマエ久野熊本支店(熊本市東区)・常楽酒造(熊本県球磨郡錦町)・ウシジマ青果(熊本市西区)=で商品化されたもの。

 背景に、熊本地震や豪雨による被災からの復興を願う想いがある。「熊本地震や集中豪雨被害、長引くコロナ禍などの影響がいまだに残る熊本県において、県内の資源や強みを生かした新たな商品を開発することにより、熊本県の方々に支持されるような商品、あるいは熊本県をより知っていただけるような商品となるように積極的にPRを行い、県内産業の振興につなげたい。熊本県を勇気づけるような商品にしたい」(ヤマエ久野熊本支店)。

 昨年3月、1500本〈500㎖〉を熊本県内限定で販売し即完売となったことから、今年は3000本に倍増し、販売エリアもヤマエ久野の全国ネットワークを活用し全国へ広げる。

 ▽県内企業によるオール熊本商品として開発▽大正元年創業の老舗酒蔵の球磨焼酎〈本格米焼酎〉がベース▽糖度12度の河内ブランドみかん「だるまみかん」果汁を30%配合〈ウシジマ青果提供〉。果汁量の制約から製品数量に限りがある商品だ。リキュール/アルコール度数12度/500㎖/希望小売価格・税込1210円。

 鮮やかな蜜柑色がフロスト瓶を通し映える。ラベルにダルマと招き猫のイラストをあしらい復興が進むよう縁起もかつぐ。若年層を意識したデザインでもあり酒類の飲用喚起や、球磨焼酎の認知度向上もねらう。

 商品開発をけん引したのは、ヤマエ久野熊本支店の20代若手社員だった。2020年7月の熊本県南豪雨では被災した取引先へ赴き土砂の始末など復旧加勢に汗を流し、地元熊本県を勇気づけ活性化させたいとの想いを募らせた。

 球磨焼酎もみかんもともに熊本県特産。常楽酒造は大正元年(1912)創業。伝統技術を用いた米焼酎や芋焼酎の製造はもとより、フルーツやヨーグルトをブレンドしたリキュール製造でも定評がある。ウシジマ青果は、みかん生産者の支援を通じ農業後継者の育成や地域農業の発展を目的に設立された。ヤマエ久野は福岡に本社を置く食品商社。酒販事業では強固なネットワークを生かした販売力、さらに食品関連で「様々な食材を取り扱える調達力」が武器だ。青果など農産物を扱う〝鮮冷部〟があり、ウシジマ青果とのコラボは同部を介して進展した。

 原料生産者や蔵元、販売業者がつながることで新たな価値を持つ魅力的な商品が生まれ、伝える力が増していく。卸はメーカーと小売店をつなぐ中核にあり、双方から情報収集できる強みがある。

 ウシジマ青果社長は「熊本県は柑橘類をはじめとするフルーツ王国だが年々、自然環境の厳しさと経済情勢の悪化や後継者不足などの問題で生産者の数は減り、供給環境に課題が多くなっている。持続可能な農業の実現のため、農業者育成、放任園の再生、環境保全、さらに農産物の付加価値の最大化に取り組んでいる。柑橘の美味しさの特徴を活かし、生果以上の美味しさでお客様に楽しんでいただけたら嬉しい。今回の取組で柑橘の魅力を更に高め、作り手とお客様が共に良い関係となっていくことを期待している」とのコメントを寄せている。

 ストーリーそのものだ。