霧島酒造 CO2排出量ゼロへ

2023年01月31日

 【宮崎】霧島酒造(江夏順行社長、本社・都城市)が、2030年度までに工場・事務所のCO2排出量を実質ゼロにするための具体施策をまとめた『霧島環境アクション2030』を策定した。持続可能な焼酎造りに向けた全体構想『KIRISHIMA SATSUMAIMO CYCLE~さつまいもを、エネルギーに。~』で描く環境ビジョンの実現を目指すもの。

 「人と地球にやさしい心豊かな企業」「地域に根ざし、地域と共に発展する企業」を経営方針に掲げる同社は、焼酎粕は宝であるとの想いのもと、2006年に焼酎粕や芋くずなどさつまいも由来の副産物をバイオガスとしてリサイクルする施設を建設。14年「サツマイモ発電」と命名しバイオガスによる発電事業を開始し、副産物を活用した取組を継続してきた。

 21年11月に発表したのが環境ビジョン。さつまいもを中心とした自然の恵みを有効利用することで「地域の皆様にワクワクドキドキしていただける体験として還元し、循環しながら成長していく」エネルギー有効利用の全体構想だ。

 アクションプランに盛った、気候変動対策と自然環境保全の主な取組は以下。

 ▽気候変動対策=①都城市内の焼酎メーカー2社(柳田酒造、大浦酒造)から焼酎粕を受け入れ〈2022年4月1日~〉発生するバイオガスを有効利用している②本社エリアのバイオガス利用拡大〈22年8月24日~〉これまでバイオガスを利用できていなかった工場にもバイオガスボイラを設置したことで、生成されたバイオガスの利用先が拡大した③焼酎製造副産物の有効利用活動において㈱ニチレイロジグループ本社と協働運用〈22年9月27日~〉ニチレイロジグループは霧島酒造が製造する焼酎の原料であるさつまいもの保管や流通加工業務を受託しており、今回取組では、流通加工業務の過程で発生する芋くずを、霧島酒造のリサイクルプラントに搬入してバイオガスを生成し、有効利用する。「霧島酒造が注力する焼酎製造副産物のリサイクル活動に物流受託企業として初めて参画。商品のライフサイクルに関わる関係会社とも協力することで、さらなる環境負荷の低減を目指す」④志比田エリアのバイオガス自社供給量の増加。同エリア工場にも、新たにバイオガスボイラを増設することで、バイオガスの自社供給量を増加させ、バイオガスのさらなる有効利用を実現する。

 ▽自然環境保全対策=①都城市内に霧島酒造が所有している森林の活用に加え、地域の森林保全活動の活性化を支援することでCO2吸収量を創出するとともに、生態系の保全など森林の多面的機能の維持を推進する②現場で着用できなくなった作業着を回収し、新しい服の原料や地球の資源などに生まれ変わるリサイクルプロジェクト(BRING UNIFORM™)に参加。

 今後、以下施策も実施を検討する。▽サツマイモ発電の電力利用先の拡大▽人にも地球にもやさしいパッケージの実現▽蒸留時に発生する温排水の有効利用による熱利用向上▽自社施設や地元企業からの食品廃棄物受入れ▽サツマイモ発電以外の再生可能エネルギーの導入。