吉備国際大(岡山) 醸造学科を新設

2019年07月04日

 【中四国・兵庫】社会科学から保険医療福祉、外国語、心理学、アニメーション文化と幅広い学部学科で学生らに人気の私大「吉備国際大学」(岡山県高梁市)の「南あわじ志知キャンパス」(兵庫県南あわじ市)で6月18日(火)、昨春新設されたばかりの農学部醸造学科の式典「蔵開き」が厳粛に執りおこなわれた。教職員や生徒ら約60人が参列し、今後の安全や発展、学業成就を祈った。


 同大学は、平成2年(1990年)に開学し、現在は「高梁」ほか「岡山」同26年(2014年)を合わせ3キャンパス6学部11学科を誇る。「南あわじ志知キャンパス」同25年(2013年)は、「地域創成農学部地域創成農学科」が昨年4月から「農学部」(地域創成農学科と醸造学科)に変更となった。

 同学部「醸造学科」は、新設とともに別棟の「醸造棟」(総面積1095平方m、1階製造場、2階研究室・分析室・検査室・試験室・会議室など)を竣工し、昨年11月末に酒類製造免許を申請。今年5月23日に8種(清酒、単式蒸留焼酎、果実酒、原料用アルコール、その他の醸造酒、スピリッツ、リキュール、雑酒)の免許が無事交付された。

 「古事記」「日本書紀」などにより日本発祥・国生みの聖地とされる「淡路島」が「自凝島」(おのころじま)と呼ばれていることから、1階(533平方m)のうち製造場(324平方m)を「自凝島蔵(名称=おのころぐら)」と命名。「麹室」「酒母室」「無菌室」「冷蔵試料室」「醸造実験室」「醸造製造準備室」のほか、ウォークインの資材庫や冷蔵庫など設備が充実している。

 この日の式は、これらにあわせて挙行し、加計美也子理事長・総長は冒頭「地域産業の発展や活性化、人材育成に尽くしたい」とあいさつ。眞山滋志学長をはじめ、都美人酒造や千年一酒造、本庄酒造、秦組本店、ユーアールエー、サンフードサービス、ホテルアナガなど地元企業も多数参列し、厳粛な雰囲気のなか「自凝島神社」の宮司らが特設の祭壇で祈願した。

 「醸造学科」は、福田惠温学科長をトップに井上守正教授(前・兵庫県立工業技術センター)ら優秀な教授陣が指導。今回の免許取得により、小型の発酵タンク(50l)や麹造り機などで原酒200l(1・8l400本)の生産が可能で、12月から酒米やワイン用ぶどうなど原料を調達。今後は連続式蒸留なども予定している。

 生徒は新潟・関東から九州まで幅広く、1期生20名、2期生24名。吉田酒造(徳島市、清酒・蘭玉)のご子息で2回生の吉田康平さん(29)は同大学について「素材の深い部分から学べ、先生方にも自主性を尊重して頂けるので座学から実験、研究まで最適」と喜び、今後の目標として「自分独自のお酒を造って飲んで頂きたい」と抱負を語る。

 民間企業の長く豊富な経験があり、応用微生物が専門の福田学科長は「醸造関係とともに発酵全般に発展させ、地元産をベースに世界に通用するものを発信していきたい」と学生たちにとっても夢と希望がふくらむ指導方針を強調した。