平成22年ビール類課税出荷状況 アサヒがシェアトップに

2011年01月21日

 ビール業界がまとめた平成22年1月-12月のビール類(ビール・発泡酒・新ジャンル酒類)の課税出荷数量は581万3110klで、前年の598万1938klに比べ前年比2・8%減少となり、平成17年以降6年連続で前年割れが続いている。出荷数量の内訳を見ると、▽ビール=292万klで3・6%減▽発泡酒=99万klで17・7%の大幅減▽新ジャンル酒類=191万klで8・7%の増加--と新ジャンル酒類の躍進が続いている。ビール各社のシェアは、アサヒビールが37・8%、キリンビールが37・0%、サントリーが13・0%、サッポロビールが12・1%となり、アサヒビールが2年ぶりのシェアトップとなった。

 ビール業界がまとめた平成22年1月-12月のビール類課税出荷数量は581万3110klで、前年の598万1938klに比べ2・8%減少を示した。今回の減少により、平成17年以降6年連続の前年割れが続いており、ビール類トータルの減少傾向に歯止めがかかっていない。

 各分野別の出荷状況を見ると、ビールは291万7811klで3・6%の減少で、業務用の不振が響く結果となった。発泡酒は98万8366klで、17・7%の大幅減少。ビールと新ジャンル酒類の狭間で苦しい位置付けにある。新ジャンル酒類は190万6933klで8・7%増を示した。価格訴求のニーズに対応できるジャンルとして相変わらずの好調ぶりだが、その伸び率は若干低くなりつつある。なお、それぞれのシェアは、▽ビール=50・2%▽発泡酒=17・0%▽新ジャンル酒類=32・8%となり、50%切りを懸念されていたビールは健闘し、新ジャンル酒類はいよいよ30%を突破した(昨年は29・3%)。

 発泡酒の税制を考える会がまとめた新ジャンル酒類のデータによると、総計190万6933klのうち、「その他の醸造酒・発泡性①」のものが72万9062klで3・3%減、「リキュール類(発泡性①)」のものが117万7871klで17・7%増を示し、昨年に引き続きリキュール類タイプの新ジャンル酒類が好調に推移している。

 ビール各社の出荷数量は、▽アサヒビール=218万268kl(2・8%減)▽キリンビール=213万4494kl(5・3%減)▽サントリーHD=74万7314kl(1・8%増)▽サッポロビール=69万9747kl(0・1%増)--となり、4万5774klの差で、アサヒビール社が2年ぶりの首位となった。各社のシェアは、▽アサヒビール=37・8%▽キリンビール=37・0%▽サントリーHD=13・0%▽サッポロビール=12・1%を示し、サントリーHDが3年連続で3位をキープした。

 昨年のビール市場は、上半期の不振から始まり、猛暑の年だったにもかかわらずビール不調という非常に芳しくない年であった。いわゆる「ライト系飲料」が好調な中で、ハイボールやノンアルコールのビールテイスト飲料の好調もまた、ビール類の消費に大きな影響を与えた。さらに家庭用では、新ジャンルの主導により、ビール・発泡酒は縮小を続けている。あるビールメーカーの担当者は、「“家庭用では新ジャンル”という構図ががっちり固まってしまった感もあり、ここをビールや発泡酒に転換させるのは難しい」とビール市場そのものの消費の変化を示すとともに、「その中でやはり脅威なのは、大手量販店が取り扱う低価格の輸入新ジャンル」と語る。

 極論ではあるが、大きく「ビール市場全体」と語るならば、韓国産の新ジャンルはもちろん、ノンアルコールのビールテイスト飲料も加えた数字こそが、現在の「ビール市場」と言えるかも知れない。今後それら全体の中で、日本のビールがどれだけ真の力を発揮できるかに、大きな期待がかかっている。