鹿児島県酒造組合 「盆明けまで酵母販売しない」、芋生育遅れで昨年に続く施策

2005年08月03日

 【鹿児島】芋焼酎の製造に不可欠な酵母を、昨年に続き今年も盆明けの8月16日まで販売しない方針を、鹿児島県の酒造組合が固めている。天候不順により原料芋の生育が遅れているため、未熟な芋まで収穫する“早掘り”を抑止する目的で県酒造組合連合会が方針決定。県酒造協同組合が生芋の製造にかかわる酵母の販売を期日まで行わない措置をとる。
 酒造協組では現在、「鹿児島2号」「同4号」「同5号」の焼酎用酵母を販売。県下のほぼ全製造場が、仕込みに使っている。芋の生育については、「植付け時期が寒冷で、さらに芋が肥(ふと)る時期に雨が降らず遅れている」(県酒造組合)とのことで、早掘りは最終的な収量に影響を与える致命傷となる。
 鹿児島県の平成16酒造年度(16年7月-17年6月)年間の本格焼酎出荷量は別表のとおり。総計で約13万7000KLで前年度に比べ15%伸長。奄美大島(黒糖)を除く全県では12万7000KL(前年度比16%増<県内23%増、県外11%増>)、奄美では1万1000KL(4%増<県内1%減、県外8%増>)の状況。
 伸長率が鈍化傾向にあるとはいえ、大手銘柄をはじめ、引き合いの強い銘柄では依然、出荷調整が続いていることから、増産体制を整えた製造場を計画通りに稼働させるためには、生芋の増収が求められている。
 九州農政局鹿児島統計・情報センター、鹿児島県農産課がまとめた、「県産さつまいもの生産状況及び用途別需要見込み」によると、今年度の用途別予想需要量は、▽焼酎(県外メーカー使用分含む)=16万7800t(前年度比116%)▽でん粉=21万1500t(125%)▽その他=6万5400t(103%)▽総計=44万4700t(118%)--の状況。
 8月1日に公表された、今年6月末現在確定の県内(大島地域除く)の作付面積は1万3354ha(昨年度比880ha増<107%>)で、目標反収3202kgで試算すると42万7600tの収量が見込め、前年実績比約5万2000tの増加となるが、予想需要量には届かない。
 用途別需要量に対する過不足は流動的だが、焼酎用に潤沢に芋が手当てできる状況にはないことは確かだ。それだけに、最終的な収量を落とす不適時収穫は避けねばならない。
 なお、16年実績・用途別需要量(構成比)は、▽焼酎=14万200t(37・1%)▽でん粉=16万9700t(44・9%)▽その他=6万8100t(18・0%)--の状況。今年度の焼酎用・予想需要量は15年実績の約2倍。需要構成比も、14年度16・6%、15年度24・1%、16年度37・1%、と拡大している。