白金酒造 2年連続の代表受賞

2009年05月11日

 【鹿児島】白金酒造(竹之内晶子社長、姶良郡姶良町)の芋焼酎「白金乃露 黒」(同社平松工場=製造責任者・鬼丸博章氏)が、熊本国税局が主催する平成21年酒類鑑評会で受賞者代表となった。鑑評会は局管内4県(熊本、大分、宮崎、鹿児島)の本格焼酎と清酒を品質評価するもので、代表受賞は優等賞入賞者のうち、特に優秀と認められる各県2社のみを対象としている。今年は「受賞製造責任者」代表、昨年は「受賞製造場」代表の栄に浴した同社。2年連続の代表受賞は稀(まれ)で、同社の芋焼酎の醸造・蒸留技術が高く評価されたことになる。

 今年の鑑評会には、本格焼酎の部門に260場521点の出品があり、優等賞は108場が受賞。うち鹿児島県の芋焼酎出品状況は、80場188点で、入賞は35場49点だった。<入賞場率43・8%、入賞点数率26・1%>。

 入賞点数が3割を切る厳しい審査を経たなかでの入賞、しかも2年連続での代表受賞について、同社竹之内雄作会長は、「きれいな焼酎が増える一方で、個性のある、蔵グセのある、特徴のある焼酎が減ってきたようにも感じる。それに対し、熊本国税局は個性を重視する評価方針を示し、そのなかでの受賞だけに喜びは一層大きく、大変名誉なことだ」と感慨もひとしお。

 同社は川田和助氏が明治2(1869)年に創業。焼酎造り140年の歴史は、県内に100場以上ある焼酎蔵のなかで最も古い。蔵は錦江湾沿いにあって、鹿児島市内で見る雄大な桜島とは異なる、“やさしい表情の桜島”を見晴らし、癒やしの風景が広がる。

 現焼酎製造場は、“白銀の水”と呼ばれる名水に恵まれる姶良町内に2場(平松、脇元)。脇元には明治時代の石蔵があり、黒瀬杜氏本流の匠(たくみ)、黒瀬東洋海さんの技が今に息づき、伝承されている。木樽蒸留器で仕上げる「手造り焼酎・石蔵」はここで生まれるもの。2つの製造場を仕切る2人の職人が切磋琢磨して、常に技を磨く環境が整っている。

 肝心要の原料芋も、磨く。同社の焼酎のすべてが“磨き芋”仕込み。新鮮なサツマイモを洗い、皮をむき、焼酎の苦みの原因となるヘタや傷んだ箇所を徹底的に取り除く。人手はかかるが、「芋々らしい風味を醸し出すため」(竹之内会長)に欠かせないのだという。

 ブーム一過、竹之内会長は「温故知新。昔に回帰する」との思いを強めている。「昔の人は本当に、芋焼酎を大事に飲んでくれた。そんな有難みがありました。これを目指し継承していくことが、われわれをはぐくんでくれたご先祖、ご愛飲いただいている皆様に対する責任だと思います」と語る。