朝凪酒造(福岡) 酒オーナー会発足、地元で初の田植え

2005年07月06日

 【福岡】朝凪酒造(日本酒「朝凪(あさなぎ)」醸造元、久留米市善導寺町、久保山泰社長)は6月26日、同町飯田地区で酒造好適米、山田錦の田植えを行った。
 従来から契約栽培田に近隣の住民や少年野球チームを招き、田植えや稲刈りを行ってきたが、今回は年間を通じ米作り酒造りに触れてもらう“酒オーナー会”の発足に伴う初の田植え。当日は福岡市や北九州市からの参加者もあり、にぎやかに田の土に触れる1日となった。
 同社は毎年2月、蔵開放のイベントを催しているが、平成15年からはJR博多駅と蔵がある善導寺駅間に“蔵開き列車”を運行し、例年240人程度が参加。都市部の飲み手との交流も深めてきた。“酒オーナー会”は、そうした交流を一層深めようと企画したもので、会費を納めた会員に、日本酒造りが米作りから始まることや、酒造りに込める思いを仕込みの現場で実感してもらい、できあがった酒を提供する。
 当日の田植えには約15人が参加。契約農家の一軒、香月義次さんが所有する田んぼの一区画で苗を手植えし、田植え機にも“試乗”した。
 久保山社長は参加者に、「通年で、お酒ができていく経過を愛情を持って見ていただきたい」と呼びかけた。また、「昔、田植えには多くの人手が必要で、農家は田植えに加勢してもらった人をもてなした。今日は、その“さなぼり”も楽しんでいただきたい」とあいさつ。鮎や鯉、なまずを使った地元料理で参加者を歓待した。
 来年以降は、福岡県産酒造米の新品種「夢一献」に切り替え、田植えを行う計画。“酒オーナー会”発足を契機に、「(飲み手と)じっくりと交流を深めていきたい」(同社久保山社長)との思いが強い。