【新潟】清酒「朝日山」を醸造する朝日酒造(長岡市朝日、平澤修社長)は12月16日、同社平澤社長が業界紙記者を集め会見を行い、昨年の業績などを発表した。
会見の要旨は次のとおり。
<9月期の決算状況>
数量は8061klで前期比98%、金額では99・8%で前期に比べ3000万円ほど不足していた。これは営業日が一日足りなかったことが原因だ。利益の方は事務棟の償却が少なくなってきているので116%と増加した。今期の出だしの10月、11月も9月期と同様で、なかなか100%に到達することができない。特に苦戦しているのは普通酒「朝日山」の県内中心のもの。11月では前年比2割弱ダウンの81~82%減で、今まで経験したことのないような落ち込みだ。これは飲食店が冷え切っているのが一番の原因だろう。一般家庭でも飲まれているが、やはり飲食店比率が高い。久保田に関しては103%と伸長しており全体で98%となっている。
<越州に関して>
94%で推移している。取り扱い店が減っていることも要因だが、久保田と越州を両方取り扱っている店は売りやすい久保田にシフトしていっている。パイが小さくなれば、価格が高いものを売ったほうが、売り上げは伸びるという考えからだろう。
<新蔵建設について>
6月頃の着工を予定している。今年の12月、雪が降るまでにコンクリートの基礎を固めておきたい。
<酒蔵の全体の状況について>
昨年は県内でも、民事再生を行うところが出てきた。経営が苦しいメーカーは水面下にまだまだあるだろう。市場を作れていないところは売り上げが落ち込み、地元で売るしかなくなっている。ブランド力がある商品はそこそこ売れていると感じるが、ないものは価格競争で勝てるかどうかになってきている。そうなってしまうと、われわれ中小メーカーは勝てるわけがない。高付加価値酒を造っているメーカーも増えていると聞くが、地方蔵はそれしか生きる道はないだろう。安い酒を造っても、大手流通業には相手にされない。
<今後の清酒出荷数量について>
昨年の全国出荷数量は微減で推移しているようだが、底打ち宣言はまだまだだと思う。現在400万石切っているが、300万石で止まるかどうか。プラス材料が見当たらないので、現在より、まだ100万石ほど落ちるのではないか。清酒・流通業界が一丸となって消費者に対して風を作らないと、一つの企業ではどうしようもない。なにかムードが必要ではないか。
<輸出状況>
前期で126%と増加しており、輸出全体のうち99%が「久保田」となっている。アメリカ、中国、韓国、台湾、香港に主に輸出している。国内との比率は2%ほど。約1000石を海外に出荷している。
<文化事業の目的>
飲む人は類は友を呼ぶで、自然と人が集まってくる。しかし、それだけでは広がりがない。それ以外のお酒をあまり知らない人に当社を発信していくことが重要で、将来を考えれば文化事業は一番の顧客作りだと私は感じている。
<今期の造りの目標> 朝日山の純米酒を来年発売する予定だ。「越州 桜日和」は無理に数量を出さずに、じわじわと増やしていきたい。
また、同社は同日、朝日神社で「『元旦しぼり』絵馬お祓い」を行った。
これは1月2日に出荷した「朝日山生酒 元旦しぼり」につける絵馬をお祓いするためのもので、同社社員が朝日神社に集まり、おごそかな雰囲気の中で平澤社長らが玉串奉納などを行った。
同商品は新しい年の幕開けにふさわしい元旦しぼりたてのおめでたいお酒で、発売24年目。干支の動物を描いたラベルも今年で2巡しており、ラベルの絵は新潟美術学園の園長である長谷川朝子さんが描いている(長谷川さんが担当してからは12年目)。
その後、同社工場でもお祓いが行われ、社員たちは牛が描かれた絵馬を前に、新しい年の幸を願っていた。