メルシャン 長野県に2ワイナリー新設へ

2017年10月23日

 【東京】メルシャンは、長野県内の2つの自社管理畑内にワイナリーを新設すると発表した。これにより、山梨県勝沼の「シャトー・メルシャン勝沼ワイナリー」と合わせて3ワイナリー体制となり、2027年に日本ワインの販売数量を6万7000ケース(1ケース=720ml×12本)にまで増やす。

 新設されるのは、「シャトー・メルシャン」の原料ぶどう産地の長野県塩尻市と同上田市にある自社農園で、塩尻市に建設する「シャトー・メルシャン桔梗ヶ原ワイナリー」は2018年9月に、上田市に建設する「シャトー・メルシャン椀子ワイナリー」は2019年秋の開設を目指す。また、2つのワイナリー新設に合わせて山梨県甲州市勝沼町にあるワイナリーは「シャトー・メルシャン勝沼ワイナリー」として2018年6月に一部見学コースをリニューアルする。これら総投資額は約6億円となる見込み。

 塩尻市には、1976年に「メルロー」の契約栽培を開始した「長野県塩尻市桔梗ヶ原地区」があり、「シャトー・メルシャン」のフラッグシップワインとも言える「シャトー・メルシャン桔梗ヶ原メルロー」のぶどう産地で、2015年には新たに片丘地区に約9haのぶどう畑を開園している。新設のワイナリーでは赤ワインの生産を行う。また上田市丸子地区には2003年に開園した同社最大の自社管理畑「椀子ヴィンヤード」があり、ここで収穫されたぶどうで造られた「マリコ・ヴィンヤード」シリーズのワインは国内外から高い評価を得ている。椀子には建屋が無いことから建設費の大半が椀子に充てられる予定で、赤、白両方のワインが造られることになるという。

 10月17日に開いた会見で同社・代野照幸社長は、新設の理由について「日本ワインの増加が続き勝沼のキャパがいっぱいになりつつある。『シャトー・メルシャン』の象徴が桔梗ヶ原と椀子で、この2ブランドの強化のためにもワイン造りを行うこととした。これで今の倍の生産が可能となる」と述べた。市場環境については、「2016年、2017年とワイン市場は前年並みでの推移となっているが、当社は市場に比べてプラスで推移しており、今後もワイン市場は増加する可能性が高いとみている。日本ワインはまだ5%程度の構成比だが、イノベーションを起こし、多様化するニーズの中では成長ドライバーになり得ると考えている」と話した。

 2016年の同社日本ワインの販売量は3万5000ケースで、2027年までに販売量で6万7000ケースにまで増やす考え。また。自社管理農地についても、「10年先、ぶどう不足が深刻になる。今後もよりぶどう畑を拡大していきたい」とし、自社管理農地面積を現行の約40haから76haにまで拡大する方針。

 代野社長は、「『シャトー・メルシャン』はメルシャンの売り上げのまだ2%の規模だが、今後、ワインが伸びる中で長期的に投資する価値があると踏んで2つのワイナリーを新設する。メルシャンは世界の銘醸地と比較しても良いものを造っているという自負がある。新設する2ワイナリーでさらにブランドを強化するとともに、140年の歴史を持つリーディングカンパニーとして日本ワインの発展に貢献したい」と述べた。