伊藤忠食品第二四半期決算

2016年11月10日

 【東京】伊藤忠食品(大阪市中央区、濱口泰三社長)は11月1日、平成29年3月期第2四半期決算を発表し、赤坂の東京本社で会見を行った。

 同社の平成29年3月期第2四半期(平成28年4月1日~9月30日)の売上高は3206億1900万円で前年同期に比べ2・3%の減少となった。営業利益は14億1600万円で9・1%減、経常利益は18億700万円で6・7%減となったが、四半期純利益は14億700万円で18・3%増の減収増益での着地となった。

 売上高は組織小売業との取引深耕、新規取引による増加もあったが、主要取引先における一部メーカーの帳合変更などの影響で81億円減少した。利益面ではコスト圧縮のほか、一部費用の発生が第3四半期にずれ込んだことから経費が減少。売上総利益が1億円減少したが、物流センターの売却などにより特別利益を2億円超計上したため増益となった。

 商品分類別売上高は▽ビール=858億5900万円で6・4%増(構成比26・8%)▽和洋酒=478億1600万円で7%増(14・9%)▽調味料・缶詰=483億3800万円で2%増(15・1%)▽嗜好・飲料=673億7800万円で15・7%減(21%)▽麺・乾物=222億2300万円で21・2%減(6・9%)▽冷凍・チルド=125億2200万円で1・2%増(3・9%)▽ギフト=256億3100万円で3・8%増(8%)▽その他=108億4800万円で6・1%増(3・4%)――となった。ビール・和洋酒は酒類分野の提案強化で新規取引が拡大したが、嗜好・飲料/麺・乾物は帳合変更の影響が大きく減少となった。

 通期の計画は今年4月に公表した数値から変更なし。

 会見ではほかにもワイン漫画「神の雫」の原作者が監修したキュレーションコマースサイト(https://kaminoshizuku.jp/)の開設に伴う、WEB関連事業の強化施策や、ブランド事業の紹介、プロセッコ「ミオネット」発売によるワイン取り扱いの強化策などの発表も行われた。

 濱口社長は今後の取り組みについて「Eコマース市場は今後、一層発達してくると見ている。サービス含め、物流でも大きな流れが出てくると思うので、従来通り取り組みを進めていく」と語った。

 【大阪】また同社は11月2日、中央区城見の大阪本社でも決算説明会を開催した。大阪会見では、濱口社長、松本耕一取締役執行役員、大釜賢一取締役専務らが出席した。

 決算報告ののちの質疑応答で、酒類部門の取り組みについて濱口社長は、「特にワインを伸ばしていきたいと考えており、社内でもワイン強化に伴う啓蒙活動を行っている。ワインの売上高は約100億円なので、さらに拡大を図りたい。日本酒に関しても注力し、いずれ可能ならばどこかの蔵元様と手を組み自社独自のお酒を開発したい」と語った。

 また地域産品への取り組みについては、「地方に元気を出してもらいたいとの思いから、その地域ならではの商品を広げる取り組みを強化している。そこにしかない美味しいものを全国に届けるのがわれわれの仕事といえる」と強調した。

 また現在の景況については、「少し前に比べ消費の動向がゆるくなっている。アベノミクスの力が弱くなったことを消費者も感じ取っている。売り場でも価格の選択肢が安価なものへシフトしている」と厳しい状況にあるとの見解を示した。