【鹿児島】鹿児島県本格焼酎技術研究会(乾眞一郎会長)は、本格焼酎に関する研究や技術交流を通じ、鹿児島県の本格焼酎業界の発展に寄与する目的で、平成元年に発足。正会員(県下本格焼酎製造)81社・関係31団体(2010年7月現在)で組織されている。事務局は鹿児島県工業技術センター。年2回定例で講演会を行っている。
3月(11日、ホテルウェルビューかごしま<鹿児島市>)には、「酒類用紙パックについて」(凸版印刷・関西事業本部生活環境事業部販売促進部販売促進課長・新矢直樹氏)、「伸びている3つのニッチマーケット」(きた産業・代表取締役社長・喜多常夫氏)、「変わる消費者にマーケティングはどう応えるか」(電通電通総研ヒューマン・インサイト部長・四元正弘氏)--の3題。160人が聴講した。
新矢氏は、同社のEP―PAK(エッジプロテクト・パック)について説明。6層構造(①ポリエチレン②紙③ポリエチレン④アルミ箔⑤PET⑥ポリエチレン)で、接着面先端を折り込み浸透性の高い内容液を外部に浸出させないエッジプロテクトは、同社独自のシール構造だという。
EPパックは1975(昭和50)年に開発され、78年灘大手清酒メーカーが採用している。その後、油・醤油メーカーなどが採用。車用のワックスやオイル、理美容液、洗剤などへと用途を広げた。94年「カルピス」はビンから紙へ。
95年容器包装リサイクル法施行。以降、環境対応が課題となる。使用済アルミ付紙パックの回収率は2・4%(2008年度)。自主的取り組みとして、酒パックリサイクル促進協議会が発足(酒造関係は2団体・22企業が、印刷関係は1団体・7社が加盟)していることも報告した。
喜多氏は需要開拓につながる視点で話した。伸びているのは、①和のリキュール系②スパークリング系③海外マーケット。
同社はフーデックスで①②を一堂に揃え出展。国内外からの来場者へ行ったアンケートでは、和リキュールの中ではゆずや梅が人気。ヨーグルト系やチョコ系に「結構人気」があった。清酒ベースやスパークリングタイプに人気があり、人気があった色やラベル、キャップについても速報した。
スパークリング製品に関しては、酒類に炭酸ガスを溶け込ませる多様な方法や装置について解説。パストライゼーション(低温殺菌)の技術論にも及んだ。
2010年の全世界向け日本の清酒の輸出額は85億円(前年比18%増)、焼酎15億(13%増)<仏ワイン約7000億円、同コニャック約2000億円>。焼酎の海外進出へはソジュの問題をあげ、「日本製を、原産地呼称的な意味で区分し、海外産に比べより付加価値のあるブランドとして確立していく戦略が重要」だとした。
「酒類の低価格政策は、5年以内に市場を縮小させる」とも。「1970年代に登場した酒の紙パックは、清酒では値下げ競争や増量競争でシェアを増やし、その結果、紙パックの多くはいまや経済酒で、安売り商材となった。紙容器自体は優れたパッケージだが、安く販売したことで清酒市場を収縮させたのではないか。日本の清酒の過半、“顔”が紙パック、経済酒というのが現実。紙パック増加の歴史と清酒減少の歴史はオーバーラップする」。
いまの消費者を、四元氏は「利己的スマート」と表現。「自身のこだわりの対象に限って贅沢を許容するが、残りは節約に徹する、メリハリの利いた身軽でスマートなライフスタイルを実践している」。そんな消費者へ有効なアプローチを「ゆる繋(つな)がりが生む共感」など7つ示した。しかしヒットを生むための本質的なことは、ブランド・ロイヤリティをつくるマーケティング。「消費者が『この商品は私にとって特別だ』と感じられる商品となること。マーケティングの最終ゴールは“自分ごと化”の対象になること」だと強調した。
自分を投影出来る物語性が不可欠。望外な獲得物“ご褒美”から商品価値やコミュニケーションを考えることが重要だとした。サントリー黒烏龍茶では、「脂っこい好物を心おきなく食べられるようになり、食事が、ひいては人生が楽しくなる」というご褒美の獲得までが物語として仕上げられ、だから消費者は商品の世界観にスッと入っていけ“自分ごと化”出来ているのだという。「消費者をリアルに投影した主人公が基点の感動物語を創作する“物語マーケティング”」を勧めた。
