小山本家酒造と世界鷹小山家グループ 今後の基本方針を発表 

2007年10月04日

  【埼玉】小山本家酒造と世界鷹小山家グループ(小山景市社長)は、同社の現況と来年7月4日に創業200周年を迎える同グループの今後の基本方針を発表した。

 小山景市社長は、「当グループの歩みは、昭和50年には全国100社中で94位にランクされ2340kl(1万3000石)を販売していた。しかしその後、着々と出荷・販売数量が伸長して昨年(18年)は2万3940kl(13万3000石)に達し、全国で第6位となった。昭和50年の10倍までに成長したのは運が良かった面もあるし『品質と価格のバランス』も成長の要素だったと思う。卸事業の売り上げも昭和50年当時の10倍となった。当グループは7社8工場で構成され、生産性の高い工場と手造り蔵で色分けすると、生産性の高い工場は『小山本家酒造』と『賜杯桜酒造』で大衆路線を行く。手造りの吟醸蔵は『雪椿酒造』と『浜福鶴銘醸』。伏見の『京姫酒造』は清酒をベースとしたリキュールなど特殊商品を製造し、秋田の『北鹿』と新潟の『日本桜酒造』は地域に密着した商品を生産する。今後とも、手造り蔵と合理化蔵で特長と役割を発揮していく。現在、推進している第7次5カ年計画の最終年度は平成23年9月で終了するが、その時点の目標は年間で『15万石』を販売し、この5年間で約2万石程度の増加を目標としている。今期の販売進捗状況は8月現在で前年比2%増加している」と語った。

 五十畑孝・製造本部長は今後の製造方針について次のように語った。

 (1)産地特性を活かした酒造り・グループ商品=①7蔵8工場の生産拠点②ひやおろし・春あがりなどの季節商品③統一原料を使用した産地特性商品(山田錦を使用した大吟醸)

 (2)小山本家酒造の特長(より良い品をリーズナブルな価格で提供)=①1仕込み40tによる大型仕込みと集中化による管理②手造りの良さを生かし機械化へ。原料処理、麹へのこだわり③伏見工場の位置づけ=大吟醸タイプ原酒の量産体制の確立④生産管理への取り組み=ISO9001の取得(2005年)⑤独自の清酒製造方法の模索により製法特許取得(2005年)

 (3)清酒技術をベースにした商品開発、リキュールなどの取り組み=①醸造酒と蒸留酒の大きな違いは旨味成分。発酵工程で生成される成分は多種にわたり複雑な味の構成を作り上げている。清酒をベースにした商品開発とは、この旨味成分を生かすことと考えている②米(清酒)と果実(果汁)を使用した、田んぼと畑のコラボレーション商品③清酒の発酵技術を応用した商品

 長塚晶幸・営業本部長は今後の重点販売商品次のように説明した。

 ▽小山本家酒造「米だけのやさしい思いやり」=リニューアル、キャンペーン実施▽全量山田錦大吟醸シリーズ=「北秋田」(秋田・北鹿)、「越後桜」(新潟・越の日本桜)、「匠」(京都・京姫酒造)▽数社同一企画商品の定番化=金賞受賞蔵の「ひやおろし720」(9月)、「春あがりひと寝かせ」(2月)▽清酒ベースのリキュール提案=「柚子檸檬」「柚子梅」(京姫酒造)

 < 工場概要> 

 (1)小山本家酒造大宮工場(三季醸造工場)=①原酒製造能力(20%換算)…今期実績1万1533kl(6万4072石)②最大製造能力…1万5500kl(8万6111石)③特長…1仕込み40tによる大型仕込み・原料処理・製麹装置は手造りの機械化を目標に設備改善を行ってきた④充填ライン…1万9000本/時間総本数⑤紙容器ライン…3ライン(180ml~3l)⑥びんライン…1ライン

 (2)小山本家酒造京都伏見工場(三季醸造工場)=①原酒製造能力(20%換算)…今期実績2573kl(1万4294石)②最大製造能力…4500kl(2万5000石)③特長…1仕込み15t。大吟醸タイプの大型仕込みが可能な原料処理設備を持つ