【京都】月桂冠総合研究所は、1909(明治42)年1月10日に創設以来、2019年で110年を迎えた。創設110周年を記念して1月10日から、月桂冠大倉記念館(京都市伏見区)に「酒を科学して110年」と題したコーナーを設けて特別展示を開始した。
同コーナーでは、明治期から現在に至る月桂冠の研究開発の歴史から17のトピックスを、日本語と英語、二カ国語の表示により展示している。また、デジタルサイネージ(55型)を設置し、糖質ゼロやプリン体ゼロなどの機能性日本酒、高香気生産酵母など吟醸酒造りに用いる清酒酵母の開発について、スライド画像により紹介している。
月桂冠の研究開発の歴史はもともと、中興の祖であり11代目当主の大倉恒吉が、酒造りへの科学技術導入の必要性を痛感し、1909年1月、「大倉酒造研究所」を創設したことからはじまった。研究所の創設当時は、まだ科学知識が十分でなかった時代であり、業界ではアルコール耐性のある乳酸菌による酒の腐造が相次いでいた。当時、同社の研究により酒の腐造問題を解決し、さらに1911年、防腐剤なしのびん詰酒を業界に先駆けて商品化するなどで、日本酒の品質向上を成し遂げた。その挑戦と創造の姿勢を現在も受け継ぎ、品質第一をモットーに、その後も、四季醸造システムの実用化(1961年)、常温流通可能な生酒の開発(1984年)、精緻な醸造管理が可能な新規醸造システムの開発(1989年)、健康志向に対応した糖質ゼロ日本酒の開発(2008年)など、いくつもの業界初を積み重ねてきた。
1990(平成2)年には、名称を現在の「月桂冠総合研究所」として、酒造り全般にわたる基礎研究を行うと共に、バイオテクノロジーによる新規技術の開発、製品開発まで幅広い研究に取り組んでいる。
【展示について】▽日時=1月10日から開始▽場所=月桂冠大倉記念館(展示室Ⅱ)(京都市伏見区南浜町)▽開館時間=午前9時半~午後4時半(休館日は盆、年末・年始)▽入館料=大人400円、中学・高校生100円