本格焼酎の主産地、九州の国税局による、酒類・無免許販売通告処分内容のまとめから、インターネットを介在した焼酎のプレミア販売で個人が暴利を得ていることが明らかになった。ネットオークションへの継続出品などで2億円近くを売り上げていた飲食店経営者もいた。
今回明らかになったのは、熊本国税局(熊本・大分・宮崎・鹿児島県管轄)と福岡国税局(福岡・佐賀・長崎県管轄)の平成17年度から21年度(年度4月-翌年3月)、5年間にわたる通告処分及び調査の内容。
同期間において、酒類の販売免許を取得せず、継続して販売業を行った無免許販売・通告処分件数は、両局で46件(熊本局38件、福岡局8件)あった。主に焼酎の転売事案で、違法に販売された酒類は両局で593kl(熊本局472kl、福岡局121kl)。1・8l換算で32万9000本、違法な売上げは18億300万円(熊本局13億6700万円、福岡局4億3600万円)に上った。
無免許販売の46件については、酒税法違反による罰則(現行=一年以下の懲役又は五十万円以下の罰金<平成22年5月31日以前=一年以下の懲役又は二十万円以下の罰金>)が通告されたほか、所得申告漏れ等による追徴課税が課せられている。罰則金は熊本局609万円、福岡局77万円。▽申告漏れ等=両局5億3300万円(熊本局4億4600万円、福岡局8700万円)▽追徴課税5400万円(熊本局3400万円、福岡局2000万円)。
犯則事例は、「A(無職)は売買差益を得る目的で、酒類小売店で購入した焼酎をインターネットオークションに継続出品し、2年10カ月間で約57kl(1・8lびんで約3万2000本、約1億4200万円)を無免許販売していた」(熊本局)、「A社(飲食店経営)は業務用として酒類小売店から仕入れたプレミア焼酎等を、3年間で約50kl(1・8lびんで約2万8000本、約1億9700万円)を他の飲食店等に無免許販売していた」--など。複数の事例からは自営業者や会社員が副業とする姿もかいま見える。
両局の取り組みには、インターネットを利用する酒類の無免許販売に歯止めをかけるねらいがあり、今後も継続するという。
“3M”と称される、鹿児島県の超プレミア芋焼酎ブランド商品は、メーカーが設定した小売値2500円程度の5-10倍で販売されているのが実情だ。中身のない化粧箱だけで3000円程度の売価も見られる。架空の飲食店をブローカーが隠れみのにするケースもあり、小売店がプレミア販売を黙認する格好で横流しする事例も後を絶たない。