【三重】清酒「朝日山」を醸造する朝日酒造(新潟県長岡市朝日、平澤修社長)は5月17日、桑名郡長島町のホテル花水木で「第24回全国久保田会」を開催した。
今回は会員店743店中、55%に当たる412店、439人が出席したが、過去最低の出席率となった。
はじめに、あいさつに立った久保田会会長の熊田裕一氏は「過去最低の出席率を記録してしまったが、参加していただいた皆さんは久保田会のあるべき姿、今後の会を考えていただき、朝日酒造の努力を伝えてもらいたい。本当の朝日酒造、久保田の姿を知らないお客さまが圧倒的。その方たちに同社の情報をもっと伝えて欲しい。その気持ちがあれば、このような低い出席率にはならないはずだ」と、参加者に檄を飛ばした。
あいさつを行った同社の平澤社長は「久保田を発売して今年で25年、同社は今年で創立90周年を迎えた。これまでも、多くの存続の危機があったが、先見性を持って、叡智を結集し社員の結束を固めて今日を迎えることが出来た。久保田戦略を立ち上げた時も、社運を賭けた大改革であった。今年6月から積極的な設備投資を行い、新たな製造蔵の建設に着手する。時代が厳しい今だからこそ、次の一手を打つ必要がある」と、意気込みを語った。
今年上半期(平成20年10月~21年3月)の同社全体の販売数量は4615kl(2万5642石)で前年同期比95・3%(金額ベースでは52億9300万円で96%)と発表。久保田全体では2846kl(1万5813石)で97・3%の推移となった。営業報告を行った細田康営業部長は久保田の月別の販売数量について「昨年10月から12月は前年比100~103%と順調に推移したが、今年に入ってから状況が一変した。1月は前年比80%台、2月が90%台、特に3、4月は80%台前半と厳しい状況。当社の他の銘柄に比べても非常に苦戦している。これは法人ギフト、業務用に販売先が偏っていることが要因の一つで、取引先のバランスが悪いこともあるだろう。また、会員店は6店減少、6店増加で前年と同数となった」と述べた。
また、今期の造りについては製造数量を41本減らした434本で仕込んだと発表。米の総量8万9500俵、平均精米歩合は52・0%で昨年より0・5%数値を高めた。勝又和明取締役製造部長は「1号蔵は朝日蔵、2号蔵は松籟蔵と名称を変更した。新蔵は朝日蔵と同様、特定名称酒の製造を担い、製造能力は3万5000石。規模は大きくなるが、製造量は現在の松籟蔵と同等で、量ではなく質を追求するために大きくした。あえてコンピューター制御を導入せずに、酒造りに手間のかかる蔵にして、杜氏の技術を発揮できるものを目指した」と、新蔵建設についての構想を述べた。
その後、加茂屋酒店(新潟県)の笠原良弘氏、カネヒコ酒店(福岡県)の大塚恭範氏、酒仙房大竹(岐阜県)の大竹章文氏が事例発表を行い、「『創業者の精神』に基づいたブランド育成」と題し、㈱ノリタケカンパニーリミテドの岩崎隆相談役が講演を行った。
来年の開催日は5月16日、新潟県で開催予定。
