業酒連の谷口会長が強調 会員に「実利」の提供が大事

2008年03月04日

 業務用酒類小売業者の団体である全国酒類業務用卸連合会(業酒連)の谷口満勇会長は2月20日記者会見を行い、業酒連の新執行部による“今後の活動方針”について次のように語り、会員各業者に実利を提供できる運営が大事だ、と強調した。

 <新執行部による業酒連の活動方針>

 (1)次世代リーダー層の育成と早期のバトンタッチ=激しい変化の中、その姿を変えようとしている酒類業界に無理なく対応可能な若い世代への引き継ぎは、当会の明日を考えた場合、避けることはできない。変化スピードの早さに対応すべく、現執行部の重要課題の一つとしたい。

 (2)会員各社に実利を提供できる会運営=事業方針の強力推進と実行こそが会員実利であると考える。ビール価格の改訂、容器手数料の増額について、昨年2月から各生産者に迫り、事業方針に掲げ、新執行部になってからも強力推進した。「物流のための全国NETワークの構築」も、もっと強力な型で進める案を加え、着々と進行している。「商品開発」も大きく拡大。以上の事業方針の呈示と実行こそ会員実利の実現につながると確信している。

 (3)強固な基盤作りを目指した組織の再編=今後当会を強力に展開するためには会員の数と質が必要である。必ずしも数が増えれば質が向上するものではない。そのためには、従来の酒類業務用卸業者の範ちゅうを拡げなければならない。業務用市場に酒類を提供している有力業者すべてが会員候補とすれば、相当の拡大の余地がある。また、施設以来20年経過した結果、各地の市場は大きく変化し、そこに携わる酒販業者も変化した。その有力業者を会員候補とすればさらに拡充できる。その実現のためには、過去の価値観を捨て、さまざまな今までの経緯を越えなければならないが、この変化の中それ程高い壁ではないと思う。従来の枠組みを改め、会の拡充に努力することこそが次世代への引き継ぎを可能とする業酒連を実現することになると思う。

 酒販免許制度が施行されてから今年までの70年間をたどってみると、当初は生産者を中心とした売り手市場が長く続いた。戦後の傷も癒え生産体制も整い、ビール会社を先頭に市場占有率なる言葉を口にするようになった60年代の中頃から徐々に買い手市場に転換してきた。その後40数年生産者の過当競争に巻き込まれ、酒販業界は、卸も小売も買い手市場を利用して安く買ってもそれよりさらに安く売るジレンマの中で淘汰再編を迎え、免許の自由化にさらに追い討ちをかけられているのが現状だ。平成17年1月、突如としてビール会社は、新取引制度を打ち出し、買い手市場から売り手市場に転換させるきっかけを作った。世界の資源情勢も手伝い、今後酒類業界は売り手市場に大きく舵を取り直すと思われる。売り手市場でも、買い手市場でもわれわれにとって一長一短あるが、やはり販売者にとっては買い手市場である方がメリットはあり、正常な消費市場が育つ土壌にもなる。それが売り手市場になれば、生産者の恣意(しい)的な選別を受け入れなければならないだろう。小売業者の場合、さらに特約卸店により恣意的選別対象にさらされ、独断的な対応にも従わなければならない。こうした変化の中、業酒連の拡充と活発な活動は、当会そして会員各社を酒類業界にその存在を認知させ、酒類業務用卸業態を存続させることになると確信している。