幸田(大阪) 飲酒運転防止へ向け講演会開催

2006年12月12日

 【大阪】業務用酒類卸大手の幸田は11月28日、大阪府南警察署およびキリンビールの協力により、飲酒運転防止に関する講演会を中央区のキリンプラザ大阪で開催し、得意先の料飲店ら約70人が参加した。

 講演会は2部構成で、第1部は大阪府南警察署交通課課長の石井一博氏による「飲酒運転防止について」を、第2部はキリンビール営業開発部の亀頭健氏による「2007年外食ビジネスの危機とチャンス」を行った。講演内容は次のとおり。

 【大阪府南警察署交通課課長・石井一博氏】

 昨年大阪では268人が交通事故で亡くなっている。つまり、268人の命を奪った人間を交通事故が生み出しているのだ。私のような仕事をしていると、交通事故が起こって亡くなった家族の方へ電話をかけなければならない。この仕事が最も辛い仕事だ。もちろん、交通事故というものは、起こそうとして起こっているわけではない。しかし、事故は起こり、時として事故を起こした人は逃走する。なぜ逃げるのか。そのほとんどは飲酒していたからだ。

 昨今の飲酒運転問題で、飲食店の売り上げが大きく減少していると聞く。皆様には大きな問題かもしれない。しかし、果たしてこれが正しい商いと言えるだろうか。今日の売り上げさえ上がれば、後はお客様がどうなろうが知ったことではない。違うはずだ。飲酒運転撲滅の運動は、決して料飲店の売り上げを下げるための運動ではない。本来のお店とお客様との関係とは、飲みに来てくれたお客様が無事に家に帰り、そしてまたお店に飲みに来てくれる。これではないだろうか。店側としては、「うちで楽しく飲んだら、安全に帰宅して、また飲みに来て下さい」という意思を持ってもらいたい。

 お店側としては、どのあたりまでが飲酒運転の「ほう助罪」になるかを気にされていると思う。基本は「車でお店に来ていることを分かっていてお酒を提供した」という時にほう助罪に問われる。しかし現段階では、どこまでをほう助罪と呼ぶかは難しい。しかし今後は、車で来るしかないような場所で、駐車場を完備している場合は、ほう助罪と呼ばれる危うさを秘めている。

 【キリンビール営業開発部・亀頭健氏】

 昨今の飲酒運転問題に対して、飲食店が今何をすべきか。まずやるべきことは、従業員の教育だ。飲酒運転に対するモラルを持つべく、例えば警察から配布される飲酒運転追放協力店のステッカーを店内の目立つ場所に貼る。これはお客様に訴えるだけではなく、店員自らに訴えるものとして受けとめなければならない。

 2007年の外食業界は、外食マーケットの縮小、飲酒運転問題などによりいわば「暗黒の時代」を迎える。その中で飲食店は飲酒運転問題にどう対策を立てるべきか。飲食店のかかえる問題は、“1”飲酒運転ほう助罪からどう逃れるか“2”マーケット縮小による売り上げ減--の2点だが、“1”に関しては根本的な解決はない。するとどうなるのか。社会と共生した店こそが、今後生き残っていく店となり、自動的に“2”の問題点を解決する方向性に向かうはずだ。

 飲酒運転問題に徹底的に取り組むことで、まず低モラルなお客様が入りにくくなる。これによって飲酒運転は減少する。そして、スタッフのモラルも上がり、結果としてモチベーションも上がってくる。店内だけでなく「店外」へ、飲酒運転問題に取り組んでいることをアピールすることが、現状打破の近道になるかと思う。

 後はこれに伴い、実績が伴わないと意味がない。そのために、まずは「売上高の因数分解」を行うべきだ。客数と客単価を見つめなおし、セールスプロモーションの意味を理解する。お客様に満足してもらって、再来店してもらわなければ意味がない。

 今後、飲酒運転が見逃されるような時代は絶対に戻ってこない。だからこそ、店側もモラルを向上した上で、売り上げ増を目指していく必要があるはずだ。