国税庁調査 清酒製造業者の52%が輸出行う

2018年03月14日

 国税庁は、平成28年調査分の清酒製造業者の輸出概況をまとめ発表した。これによると清酒製造業者の51・9%が輸出を行っており、うち大手は93・9%が輸出を行ったことが分かった。前回の調査から輸出製造業者は47者増加し761者となり、国内需要が厳しさを増す中、輸出に活路を見出そうとする蔵が年々増えていることが分かった。

 平成28年から輸出取引を開始した「新規」業者は59者となり、平成27年以前に輸出を開始した「継続」業者は92・2%となった。継続業者のうち、輸出取引年数が5年未満の者が最も多く(24・7%)、5年以上10年未満の者と合わせて約半数(48・9%)を占めた。

 特定名称は、輸出数量の過半(54・8%)を占めており、一方、特定名称の製成数量は総製成数量の42・9%であることから、輸出取引では特定名称の割合が製成数量の場合と比較して高くなっていると分析。前回調査では輸出数量に占める特定名称の割合は58・3%であったことから、特定名称酒の割合は前年に比べて低下した。

 輸出先国(地域)別輸出製造業者数は、▽香港=420者▽シンガポール=378者▽台湾363者――の順となっており、前回調査と同様に全体としてはアジア圏への輸出を行う者が多い傾向にある。輸出先国(地域)別の中小・大手の割合をみると、前回調査と同様、大韓民国(16・1%)、英国(15・4%)、フランス(16・5%)、マレーシア(18・8%)で大手の占める割合が高くなった。

 輸出製造業者のうち「継続」と回答した702者に平成27年と比較した輸出数量の増減について聞いたところ、増加と回答した者は421者、減少と回答した者は185者となった。なお、前回調査と比較して「増加」の割合が59・4%から60%へ微増し、「減少」の割合が27・2%から26・4%へと減少しており、輸出は増加傾向にある。

 中小・大手別の輸出数量の増減を比較すると、増加と回答した者の割合は中小と同じであるが、減少と回答した者の割合は中小よりも大手が多い結果となった。「増加」と回答した者の理由としては、「新規受注の増加」と「既存顧客からの受注増加」との回答がともに60%以上と、高い割合になった。一方、「減少」と回答した者の理由としては、「輸出先需要の縮小」が80%と最も多く、「為替変動・輸入規制等の影響」や「自社生産体制の縮小」の6・7%等を大きく上回った。

 輸出製造業者が今後輸出を増加させるために必要と考える事項としては、「現地でのニーズの拡大」との回答が65・2%と最も多く、その他の事項は30%前後の回答にとどまった。

 今後の輸出の意向は、「拡大」と回答した者が70%を超え、「現状維持」と合わせると95%以上となっている。

 輸出先国での販売先としては「飲食店」と「流通業者に一任している」の2つの回答が、他の回答よりも高い割合になった。輸出の流通経路としては、「商社経由」の58・1%や「酒類卸売業者経由」の46・5%が高い割合である一方、「自社から現地輸入業者へ」や「自社から現地卸売業者・小売業者へ」は低い割合となった。

 清酒の輸出を平成28年中に行っていないと回答した705者に対し、輸出への意向について調査。輸出を取り止めた又は行わない理由としては、「在庫等不足」が最も多く、次いで「利益が見込めない・興味がない」となった。今後の輸出の意向については、「今後も行わない」が60%以上で最も多く、次いで「検討中」となった。

 訪日外国人に対する清酒の販売に関する調査では、訪日外国人の見学・来訪の頻度について、「全くない」と「たまにある(年1回程度)」が合わせて80%以上で、「よくある(週1回以上)」と「しばしばある(月1以上)」を大きく上回った。