全国小売酒販組合中央会 基準の厳格運用など9項目を要望

2017年09月26日

 全国小売酒販組合中央会は「平成30年度税制改正などに関する要望書」をまとめ公表した。平成30年度の要望項目は、酒類の公正取引、販売管理の確保に関する取り組み、小売業免許の見直し、小売酒販組合への加入義務化など9項目の要望となった。特に今年6月1日に施行となった「酒類の公正な取引に基準を定める件」(以下、基準)の厳格運用を強く要望。廉売競争の是正による取引環境の乱れの是正を期待するものとなった。

 現在の酒販店は、規制緩和以降、酒類の特殊性に対する規範意識を問われることの少ないまま、酒類小売業免許が付与された結果、「過当な廉売競争やおとり商品化など、酒類の特殊性を無視した乱暴な販売方法が横行し、組合員の約半数が倒産、廃業、自殺、失踪の憂き目にあった」と指摘。改正法が施行されたことで、今後、これら酒類小売業界が抱える諸問題は「解決、改善に向かうと期待」しているものの基準の厳格運用なくしては「立法の目的は果たされない」とし、基準が形骸化することなく、厳格運用されるよう、次の9項目を要望した。

 (1)「基準」の厳格運用=生販三層が基準に則った健全な商取引を行うことで、販売価格をはじめとする正常な販売環境が整い、最終的には消費者の利益を実現するものと考える。基準が形骸化することのないよう、国税庁は全国小売酒販組合中央会などと協力し、基準違反事業者が出ないよう抑止、監視するとともに違反事業者に対しては速やかに「指示」などの適切な対応を行ってもらいたい。また、基準違反で1件でも「指示」が出た場合は、市場に与える影響が非常に大きいことから、以降、広く酒類事業者が倣えるよう違反事例について情報の共有をお願いしたい。

 (2)酒類業界の実態を踏まえ指針に基づく適切な調査、指導を求める=基準の厳格運用が不可欠だが、業界の健全な発展のためには「酒類に関する公正な取引のための指針」を順守していくことが必要。国税庁には公正な市場を確保するために適切な調査、指導を強く要望する。

 (3)酒類販売における無人レジの使用禁止を求める=一般酒類小売業免許は対面販売を原則としており、未成年者飲酒防止や飲酒運転撲滅などの観点からも、その時だけ店舗販売員が確認するレジは通常の対面販売と比べてその実効性に疑問がある。酒類販売における無人レジの使用禁止を要望する。

 (4)消費税の外税表示と総額表示の事業者による選択制を求める=価格表示方法の変更が法律で変更された際に生じるプライスカードの書き換えやレジなどの会計システムへの対応は、中小零細事業者にとって人的にも費用的にも大きな負担となる。事業者による選択を可能としてもらうよう要望する。

 (5)消費税軽減税率の対策補助金制度の期間延長を要望する=中小企業、小規模事業者にとって同補助金制度は有益な制度だが、時限制度となっており、申請受付期間の短さが制度利用の障壁となっている。同制度の期間延長を要望する。

 (6)酒類販売管理協力員制度の小売酒販組合活用を求める。

 (7)一般酒類小売業免許と通信販売酒類小売業免許との整合性の確保を求める。

 (8)新人口基準の導入を求める。

 (9)公益的活動を行う小売酒販組合への加入義務化を求める=平成26年6月に全会一致で採択された国会請願に基づき、積極的に組合未加入の小売業者に対して小売酒販組合の組織率の向上策を検討、実施してもらうようお願いする。