菊正宗酒造 米国で「感覚・触感商標」

2017年02月06日

 菊正宗酒造は、「純米樽酒」135mlカップをアメリカへ輸出開始するに伴い、アメリカでも例の少ない「感覚・触感商標」の商標登録申請を行う。

 同商品は、酒樽からそのまま日本酒を飲むことをコンセプトに開発したもので、135mlのサイズは木枡(144ml)とほぼ同じ容量となっている。カップ自体がリアルな酒樽を表現できるように、オリジナルの樽型成型瓶は、杉樽と同じ18面体の板(側・クレ)を表現してグリップ感をもたせ、緑の竹のタガの部分はツルツルとした手触りを残しながら、木の部分にニス加工のシュリンクで木肌の手触りを想起させている。視覚(カップデザイン)、触覚(ニス加工)、嗅覚(天然吉野杉の香り)、味覚(純米酒のコク)を訴えた日本独特の商品に仕上がっている。

 ユネスコの無形文化遺産に伝統的な和食が登録され、和食の一翼を担う日本酒の輸出も伸長している。江戸時代から続く人気の樽酒を継承するために、同社は樽職人を育成し、現在でも伝統的な技術で「酒樽の製造」から「瓶詰め」まで自社で実施している。

 伝統的な和食が登録された3年前と比べて2016年の年間海外輸出は金額ベースで前年比64%増、樽酒商品は金額ベースで74%増で伸長し、アメリカ向け輸出金額ベースは、全商品49%増、樽酒商品40%増となっている。

 感覚的な物に関して商標登録できる国が多く存在し、アメリカやヨーロッパなどでは聴覚や触覚・嗅覚などで認識することができるものに対して商標登録が行われてきた。2015年4月から日本国内でも「動き」「音」「位置」などの新しいタイプの商標登録が認められるようになり、「動き商標」において同社の「紫の風呂敷が四方にひらく動き」が登録されている。