大阪卸が恒例の会見 量販店優遇は問題

2010年11月18日

 【大阪】大阪卸酒販組合(喜多和生理事長)は10月18日、本紙も加盟する京阪神醸界記者会と恒例の懇談会を行い、大阪府を中心とする卸市場が抱える問題点や来年度に向けての重点課題、市場安定に向けての取り組みについて組合としての活動方針を述べた。会見には喜多理事長をはじめ、佐藤進副理事長、飯田豊彦副理事長、片岡新吾副理事長、井上憲之副理事長の5氏が出席した。

 <今年度の総括>大きな活動の柱は、市場問題と卸中央会の発刊した「これからの時代の酒類事業のあり方(改定版)」、いわゆる新ビジョンを衆知徹底することの2点。市場問題については、今年から改正独禁法および不当廉売ガイドラインが施行されたのを受けて、これを熟知した上で取り組んでいく。新ビジョンについては、その意図するところを業界全体に周知していくことが大きな課題だ。今年2月には組合員を対象に研修会を実施。203人が参加した。

 市場については、テリトリーを大阪府下の4ブロック、奈良ブロック、和歌山ブロックの6ブロックに分け、各ブロックで対応をしてきた。今年6月に、複数のビールメーカーが一部の量販店を優遇するよう自社ガイドラインを改めたとの報告があった。自分たちの知らないところでメーカーが動いているという懸念もあり、各ビールメーカーのエリア本部を回って抗議を行うことになった。

 自社ガイドラインを定めたにもかかわらず、今回のような形で量販店にだけ販促費を増額するということ自体がおかしい。メーカーの中には「確かにおかしいが経過措置としてやっており、今後は社内でも市場に対する考え方を衆知していく」と話しているところもあるが、今回の件は非常に残念だと思っている。

 <市場安定に向けての取り組み>酒類の需要が伸びないのが一番の問題だ。今年は猛暑の夏だったにもかかわらず、8月のビール類の需要は前年を下回った。マーケットはデフレが進み、売り上げ至上主義が起こりつつある。安価な輸入新ジャンルが売り上げを伸ばしていることなど、価格面がさらに下方シフトしていることも大きな問題だ。その中でビールメーカーが販促費の増額を行っており、それが量販店やDS店頭での売価の乱れにつながっている。

 卸の間での足並みの乱れは少ないが、メーカーと量販店の動きが価格の下方シフトにつながっているのが問題だ。

 <清酒の需要活性化に向けて>酒類全体の需要が減少する中で、とりわけ清酒の落ち込みが激しい。特に関西は清酒の主産地であり、現在の状況については卸各社も非常に危機感が強い。

 1月に国税局と行った懇談会でも、清酒市場の活性化に向けて意見の交換を行ったが、300万石の大台割れという現実が見えてくる中で、ここから復権を図っていくためには「安かろう、悪かろう」ではなく、品質の向上を図り、よい商品を市場に送り出していくことが絶対に必要だ。