鹿児島県内の蔵元と酒販店、焼酎の魅力、感性で発信

2015年08月28日

 【鹿児島】県内の焼酎蔵元と酒販店の若手が連携し、生み出す薩摩焼酎(本格芋焼酎)の魅力を消費者へダイレクトに伝える店「酔き隣人」が8月10~16日の7日間、JR鹿児島中央駅・アミュ広場に出現した。「Delight Park SUMMER JAM!!夏の“たのしい”がぎゅっとつまった30Shops!」の1店として出展したもの。雑貨など日々の暮らしを潤す店が並ぶなか、個性派焼酎に偶然出合う。違和感なく溶け込んだのは、愉しさを求める来場者の感性に響いたからかもしれない。

 参加蔵元「出展商品」は6社。▽大和桜酒造「大和桜」(いちき串木野市)▽小牧醸造「一尚ブロンズ」(さつま町)▽小正醸造「赤蔵の師魂」(日置市)▽八千代伝酒造「八千代伝黒」(垂水市)▽中村酒造場「なかむら穣」(霧島市)▽長島研醸「甕長期熟成さつま島美人原酒」(長島町)。出展商品すべてを取扱い信頼関係も厚い「樋髙酒店」(ひだかさけてん=霧島市隼人町)が蔵元と共同で試飲販売を行った。

 一日の疲れを癒す、焼酎でのだれやめにもピッタリの「うるめいわしの丸干し」下園薩男商店(阿久根市)や日々の食に寄り添う地醤油「サクラカネヨ」吉村醸造(いちき串木野市)も併せ出展された。

 6社連携の出展イベントは初。大和桜酒造の若松徹幹さん(38)は「料理屋が通う美味い料理屋をお薦めするような感じ。他社のストロングポイントがよく分かるし、それをもシェアする酒蔵のコンソーシアム。他の出展は異業種で、意外性や驚きも共有できる」と話す。こだわりのモノづくりで繋がる蔵元の連携や異業種とのコラボレーションが、既成の枠を超えた新たな価値や提案を創出する。若い力で一つの壁を乗り越え、より消費者へと近づく試みのように見える。

 期間中は樋髙酒店の樋髙将英さん(ひだか・まさひで=32)が常駐。蔵元関係者は交代でアピールした。一流企業社員から酒屋に転身した異色の経歴の持ち主で、元気な酒屋として注目度を高めている。正規価格での販売など誠実な商いを心がけ「圧倒的な接客力」を目指す氏ならでは、自然体で引き込む。来場者の多くが足を止めお薦め焼酎を試す。「蔵元さんは若手で次代を担う人たち。お客さんはまず造り手の若さに驚かれる」。

 20~30代の焼酎への好奇心が強いようだ。それでも届いていない。「柔道とか相撲とかは分かっても、個別には見えていないようなもの」。ネスカフェ(NB)やスターバックス(幻銘柄)のようなコーヒーは知られているが、自家焙煎系の焼酎はまだまだ知られていない。こだわりで醸す焼酎をもっと伝えたいとの想いが強い。