クールジャパン機構 中国のワイン卸に出資

2019年07月02日

 【東京】クールジャパン機構(㈱海外需要開拓支援機構)は6月18日、港区の六本木ヒルズで記者会見を開き、中国での日本酒流通拡大を目的としたワイン卸事業へ出資したと発表した。

 同機構は中国でワイン卸事業を展開する「EMW」の持株会社である「Trio(トリオ)社」の発行済株式を約22億円で取得。EMWの事業ノウハウを活用し、日本全国の蔵元に中国進出の足がかりとなる流通・販売プラットフォームを提供する。

 EMWは2003年設立。中国主要都市に6拠点を構え、現在では中国有数のワイン卸売業者となっている。世界15カ国80ワイナリーと独占販売契約を結んでおり、中国150以上の都市の高級ホテルやレストランを中心とする3500以上の販売チャネルを確立している。

 中国市場に熟知したEMWの事業ノウハウと、既存のワイン流通を活用することで中国での日本酒普及を目指す。本件出資を通じて、さまざまな制約条件を抱え、未だに中国進出を果たせていない日本全国の酒蔵に対して、その足がかりとなる流通・販売プラットフォームを提供する。

 具体的にはさまざまな日本酒関連企業・団体・業界有識者と連携し、EMWへの蔵元紹介からビジネス立ち上げまでを支援していく。また、各銘柄の魅力・ストーリーを伝えるコンテンツ制作やSNSなどでの発信、イベント・酒蔵ツアー開催、日本酒教育プログラム実施といった啓発・マーケティングも共同で推進するなど、積極的なハンズオン支援を実施する。

 同機構の加藤有治専務取締役は「高級ワインと日本酒は管理が似ており、既存のワインのプラットフォームを日本酒でも利用できると考えた。食文化としての日本酒を理解してもらうことで、長期的な需要開発に繋がるよう両社で取り組みを行う」と述べた。中国国内での商標の取扱いについては「EMWはワインにおける商標のノウハウも持っているので日本酒にも活用したい」とした上で、「今のところ蔵元の選定は白紙だが、自治体や関係団体と連携し、蔵元のお役に立てるよう活動していく」と述べた。