霧島酒造 霧島ビールをリブランド

2017年04月21日

 【宮崎】霧島酒造(江夏順行社長、本社・都城市下川東)が、同社霧の蔵ブルワリー(都城市志比田町「霧島ファクトリーガーデン」内)で製造しているクラフトビールの商品ラインアップや味わい、ラベルを含むパッケージデザインを一新。「KIRISHIMA BEER」としてリブランドし4月15日、同ブルワリーで発売する。同月17日からは公式通販サイト「霧島通販蔵」での販売も開始する。15・16日、霧島ファクトリーガーデンで開催の「霧島春まつり2017」が新BEERと出会う感動の場ともなりそうだ。

 発売に先駆け同月7日、霧の蔵ブルワリーでマスコミや都城市の関係者らを招きリブランドを発表。リニューアルした多様なクラフトビールに合う食の提案もあった。同社江夏順行社長、江夏拓三専務が臨席のもとビール醸造担当者が商品説明を行った。

 同社の地ビール「霧島ビール」は伸長を続ける本格芋焼酎「黒霧島」と同じ1998年に誕生した。同年7月、ビール醸造施設・レストラン・ショップが一体となった「霧の蔵ブルワリー」オープンとともに販売開始。イギリスの醸造所プランナー、リチャード・S・リグリー氏の技術指導のもと、古典的伝統的な醸造法をベースに製造を行ってきた。

 今回のリニューアルは、2016年創業100周年を迎えた同社の「新たなチャレンジ」。“霧島山が育んだ、美しい水のきれいなビール”をコンセプトに、本格焼酎の品質を支える天然地下水「霧島裂罅水(きりしまれっかすい)」のやわらかくすっきりとした特徴を活かした、きれいな味わいのビール造りを目指し、ビール製造ラインの増設工事も行った。製造能力及び品質管理体制の向上が目的で約180平方m増築。ビール醸造施設面積を439平方mとした。

 醸造スタッフは霧島ファクトリーガーデン事業本部「醸造課」係長・牧一博さんはじめ5人。ビールにはラガースタイルとエールスタイルで100種もあるが、日本の大手ビールメーカーの商品はほとんどがラガーのピルスナータイプ。「地域特性を発揮しクラフトビールの魅力を広げていきたい」と話した。

 5種の商品が披露された。ピルスナー・ペールエール・アンバー・スタウトの4種は麦芽・ホップが原材料の生ビール<非熱処理>。IBU(インターナショナル・ビター・ユニット<国際苦味単位>)は24~35。もう1種は発泡酒(麦芽使用比率25%以上50%未満)の日向夏(ひゅうがなつ)。特産柑橘などを活かした。すべて要冷蔵<10℃以下保存>で賞味期限2カ月、330ml瓶、希望小売価格(税抜)500円。

 ラベルは、霧島裂罅水をはじめとする霧島連山の自然の恵み、悠久の時から生み出される産物であることを表現するものに一新。空、降り注ぐ太陽の光、霧島山、霧、森、大地、霧島裂罅水が織り成す霧島の大自然をミルフィーユ状に配置し、さらに商品ごとの個性をイメージカラーで伝える彩り豊かなデザインとなった。

 江夏社長は「一つの節目としての100周年。奇しくも地ビール事業も20年の節目を迎え、クラフトビールとして生まれ変わる」と話した。江夏拓三専務は「エッジが立っているビールで、ワールドビアカップで金賞を続々獲れる」と新品質に自信を見せた。都城市・児玉宏紀副市長は「ふるさと納税は都城を知っていただくツールとして、肉と焼酎を中心にお返しし日本一になれた。霧島酒造さんのお陰」と語り新生クラフトビールでの魅力けん引へも期待を寄せた。

 年間販売目標数量は非公表だが生産に限りがあり、「霧島通販蔵」では5種類セット販売のみ月間上限1000セットとしている。スーパーなどの量販店や全国組織のコンビニエンスストアでの販売は当面考えていない。缶商品の発売も「時期尚早」とした。

 本格焼酎で展開してきたのと同様、食とのコラボ提案がクラフトビールの魅力を高めるとの考えで、同社焼酎ブレンダーも参画し様々な食との相性についても検証を進めるという。当日は鶏の炭火焼き・スパイシーチキン・チキン南蛮、煮しめ、さつまいものレモン煮、山菜の天ぷら、春野菜のペペロンチーノ、宮崎牛や野菜など地産商材を使ったピンチョスなどとのマッチングを提案した。