日本ワイナリー協会の鈴木徹理事長は12月14日、年末記者会見を開き、今年のワイン市場と来年の展望を要旨、次のように話した。
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【2011年の国産ワイン市場について】
今年の市場を特徴付ける要素は未曾有の大震災と円高にあると考えている。
大震災は直接的な被害だけでなく、原発や電力不足問題など、震災に続く多くの問題を引き起こした。今年は「絆」という言葉が多く使われ、ワイン市場にとっては、「同じボトルからワインを分け合い、そして家族や親しい人と語らう」というワインが持っている情緒的な価値が改めて認識された年だと言える。震災後に内食化が顕著になり、家庭用市場は大きく伸張した。また、震災は何かを「ストックしておく」という消費者の行動にも変化を起こし、大容量が昨年に続き好調に推移した。
円高の影響は、店頭価格の低下やプライベートブランドの増加に拍車をかけた。国産だけではなく、輸入でも「ワンコインワイン」が入ってきたことで、従来よりも国産や輸入といった違いを意識せずに、手頃な価格で自由に楽しむ消費者が増えたのも今年の特徴だ。
今年のワイン市場は、数量で国産ワインは107~108%、輸入ワインは105~106%、市場トータルで105~106%となったと推定している。金額では低価格化の影響を受け、前年をやや上回る程度になったと推定している。
【2011年国産ワインの生産状況】
<北海道>開花時期の曇天多雨による結実不良、収穫期の台風本道上陸などによる多雨長雨傾向、スズメバチによる被害などで収穫量は例年をやや下回る。品質は夏場の高温が影響して酸度の減少も適度に進み、平年並みを確保することができた。
<山形県>一部に高温障害による着色不良もみられたが、糖度の高い完熟したブドウとなり、全体的に糖度が高く良質な原料ブドウとなった。
<山梨県>平年作以上の品質のブドウができた。量的には昨年度のベト病による品薄状態を克服した。
<長野県>生育後期の多雨で、ナイヤガラ、メルローを中心に晩腐病が発生した。全体としては糖度の上がりが鈍く、熟度と収穫時期の判断が難しい年だったが、夏季の高温の影響で酸が低下し、バランスの良いワインに仕上った。
【需要拡大の方策】
ワインがその他の酒類と異なるのは、ワインに触れる頻度の高い消費者が少ないという点にある。月に1回以上ワインを楽しむ消費者は、ワイン消費者の約2割で、この2割の消費者がワイン消費全体の9割強を支えているのが実態だ。英国では約5割の消費者が定期的にワインに親しんでおり、消費の9割強を支えていることから、ワイン消費の裾野の拡大が業界として急務だ。もっと多くの消費者に日常的にワインに触れて、楽しんでもらうことが必要だ。
【来年の国産ワイン市場の展望】
「日本産ワイン」の輸出の障害になっている円高は、原料の輸入にはプラスだが、輸入プライベートブランドに代表されるワンコインワインの台頭につながっている。2012年も継続していくと推察される。
一人でも多く定期的にワインに親しんでもらうこと。消費者の健康志向は高まることはあれ、下がることはない。
ワインの持つさまざまな機能的な価値、情緒的な価値を再認識して、それらを一人でも多くの消費者に伝え、市場を広げていくことを継続していく。