【福岡】三線(さんしん)の音が響く酒蔵は、多くの浴衣姿の女性で華やぎ、蔵そのものが艶(つや)っぽく浮き立つ。日本酒の蔵元、若竹屋酒造場(林田浩暢代表、久留米市田主丸町)が企画する「大人の夏まつり」--。音楽と共に蔵元で日本酒を酌む、そんな潤いの時間を創る大人限定“夜の蔵開き”が、今年は7月10日に催された。
音楽とのコラボで開催5回目。参加は事前予約の会費制。福岡市中心部からの貸切バス運行も喜ばれている。今回は沖縄バージョンの“琉球ナイト”。三線と太鼓と島唄、男女3人のユニット、三線ロビンズが蔵内を沖縄で彩る。来場者のリクエストに応え、安里屋ユンタや芭蕉布、涙そうそうなどの曲を披露した。
福岡市内の料飲店が出店し、本格的な沖縄料理を販売したほか、地元料飲店のおつまみセットや、同社「和くら野」の蔵料理も揃えた。酒メニューは、純米酒「たのしまる」「横尾雄町」、燗酒や梅酒も。毎年好評の“酒カクテルバー”もオープン。日本酒をベースに、“十四代目スペシャル”はワインと、“サケティーニ”はジンとのコラボを提案した。
蔵元が醸す純米吟醸酒「渓」などを封じ込めた氷柱が、来場者の目を引き、会場を涼しげに演出した。制作したのは、蔵元林田さんの友人、両筑製氷冷蔵(同町)の古賀速一さん。日本酒の蔵元が多い筑後地方には、醪管理に必要な氷を納める“造り酒屋のための氷屋”が今も残る。
同社が春秋に開催する蔵開きイベントは数千人規模の来場で賑わい、有難いことだが、林田さんには、「ゆっくりと話すことも出来ない」ジレンマがあった。「お客さんの喜びは、働いている社員の喜びになる」。夏まつりでは「ゆるい感じで酔う」心地よさを実感してもらい、そのなかで一人ひとりの飲み手との絆を結んでいきたいという思いが強い。
同社は今後、日本酒コーディネーターの松本久加子さんが企画した「日本酒とボサノヴァの会」(福岡市で8月8日開催)に協賛・参加する予定。夏まつりに来場した酒販店主は、「酒会では料理との相性が提案されてきたが、これからは音楽との相性など、空間時間の提案が求められている」と語る。