「酒肆とみまつ」「磯八」共催、第6回「黒瀬会」 感動の酒会、絆深める

 【福岡】ただ一蔵の芋焼酎を、造り手と共に楽しむ。人と人の絆を深める感動が、「黒瀬会」という酒会にはある。酒販店「酒肆(しゅし)とみまつ」(富松正彦代表、久留米市三潴町)と、料飲店「磯八」(新井八衞代表、同市日吉町)の共催。会の由来でもある、黒瀬安光杜氏(鹿児島酒造=製造場・鹿児島県阿久根市)を囲み、しあわせの輪を広げる。

 「磯八」を会場に、平成17年に始まった酒会。今年は7月17日開催、6回目を迎えた。ブームとは無縁、こちらの熱狂に変わりはない。当日は蔵元関係者を含め約40人が参加。天然地魚がメインの料理と共に、蔵元の芋焼酎「酔十年・無和水」「阿久根」「やきいも黒瀬」「倉津」「こいじゃが」「黒瀬安光」を酌んだ。「やきいも黒瀬」は焼芋仕込みの元祖。「酔十年」は10年にわたる貯蔵熟成酒。「黒瀬安光」は強い甘みとキレの良い焼酎造りに適したS型麹、清酒用の黄麹(ネオマイセル麹)を併用し、黒瀬杜氏が50数年磨き続けた技を注ぎ込んだ、1升小売値8820円(税込)の逸品だ。

 黒瀬杜氏(73)は昭和12年、焼酎造りの職人集団“黒瀬杜氏”の里、鹿児島県川辺郡(現・南さつま市)笠沙町生まれ。27年に焼酎造りの道に入り、九州各県で諸原料での焼酎造りを学び、半世紀を超す杜氏歴を有す。多彩な麹菌を自在に使いこなす匠で、気さくな人柄でも焼酎ファンを引きつける。

 後継者、弓場裕・副杜氏も同行。蔵の近況報告をするとともに、「黒瀬杜氏の実物の生身の人間を見て飲むと、焼酎の味も変わるはず」と、師をたたえた。黒瀬杜氏は、「こうして続くのは、うれしいばかり。ただ一蔵に特別に与えていただいた任務で、これからも頑張らねばと思う」と感謝の言葉を重ねた。励みは、一造りを乗り切るだけの力になる。

 酒会には、同社久留米支店長の中島重喜さんも臨席。「何と言っても富松さんの人柄で続いている。一蔵だけでやる会。強い」と語る。会を支える蔵元に感謝する富松さんは、お客さんの変化を感じている。「造り手を知り変わっていく」。愛着が、格段に強まっていく。

 ある女性は、毎回、会を楽しみに参加していた夫を亡くし、その夫が愛した酒会に初めて参加した。黒瀬会では、阿久根の蔵元を訪ねるツアーも敢行。その企画に夫婦で参加した。多くの思い出が酒会を通じ、よみがえる。

 桑野順一さん(61)は、「『酔十年』と出会い、焼酎には無限の広がりがあると目覚めた。それを造っている人に会える感動。奥が深くて際限がない、まさに宇宙。これからも、どんな星に出会えるか楽しみにしている」と話した。

(掲載日:2010年07月26日)

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