【福岡】“酒に笑う人生”--。酒を楽しむことで、人生をより輝きのあるものにしてほしい。そんな思いを込めた酒会が7月4日、福岡市のホテルニューオータニ博多であった。主催は住吉酒販(庄島真一代表、福岡市博多区)。造り手と飲み手をつなぐ橋渡し役に徹し、そのことを自らの喜びとする生業(なりわい)を歩む。
一般消費者や料飲店関係者を対象に、日本酒の魅力を伝える酒会。昨年の開催に続き2回目で、食との相性を際立たせる新たな試みで臨んだ。料理は、庄島さんが尊敬信頼する「練」(福岡市)北島克正さんのしつらえた「食と日本酒・特製小箱」。より一層、日本酒の表情を豊かにするもので整えた。①試飲のみ(2500円)②試飲・小箱付き(3500円)--の会費制で、約500人が来場。うち9割が小箱付きを選んだ。参加を募り始めると、たちまち定員400人に達し、収容いっぱいの500人で抑えた。来場者数は、昨年酒会を200人も上回った。
出展蔵元は27蔵(うち九州17蔵)。約120種の日本酒の個性が花開き、来場者は新たな出会いに心躍らせ、蔵元との会話も楽しみながらブースをめぐった。小箱も好評で、「料理を取ることに気が散ることなく、日本酒に集中して、じっくりと楽しめる」(福岡市内の料飲店主)、「当蔵の酒は地味で伝わりにくいが、それが料理と一緒になって、よく分かっていただけた」(出展蔵元)など聞かれた。
北島さんは、日本酒が持つ酸を美味しく感じるように、鳥のスモークにブルーベリーを日本酒で煮詰めたソース、豚軟骨にはきのこ味噌を合わせるなどの工夫もした。理想は、料理と日本酒が、「引き立て合い高め合うような」関係。「ラベルで飲む」世界からの解放を願う。
酒会終了後の関係者懇親の場。得意先料飲店、その先のお客さんまで、信頼でつながる同店のこと、多くの人が酒会の裏方を買って出た。蔵元の力添えをはじめ、「これだけの皆さんに支えられてやれることを幸せに感じる」と感謝を込めた。「来年は1000人でやりたい。何か元気が出てくるだろう」と前向き姿勢にブレはない。蔵元からは「1000人は夢じゃないし、ヤフードームで1万人を」との声も上がった。
会の企画・運営全般を庄島代表の子息、健泰(たけやす)さんが担った。小箱の提案はもとより、DJブースを設け、酒会に音楽の彩りを与えた。さらに意欲は尽きない。「酒に笑う人生が、もっとキラキラとしたものになるよう、もっとお手伝いができる名脇役になりたい」。
今年の5月31日、仕込み蔵を焼失した旭菊酒造(福岡県久留米市)の原田憲明社長は、こうした会には火災以来はじめて出た。懇意な料飲店・酒販店関係者に励まされ、いま、仕込み再開へ迷いはない。「遅くても来年2月には」と語り、「新しい日本酒のお客さんを皆でつくっていこう」と呼びかけた。
出展蔵元 ▽旭菊(旭菊酒造)▽独楽蔵(杜の蔵)▽駿(いそのさわ)▽田中六五(白糸酒造)▽庭のうぐいす(山口酒造場)▽花の露(花の露)▽美田(井上)▽若竹屋(若竹屋酒造場)▽山の壽(山口)=以上福岡、▽東一(五町田酒造)▽東鶴(東鶴酒造)▽鍋島(富久千代酒造)▽能古見(馬場酒造場)▽万齢(小松酒造)=以上佐賀、▽鷹来屋(浜嶋酒造)▽豊潤(小松酒造場)=以上大分、▽六十餘洲(今里酒造)=長崎。▽乾坤一(大沼酒造店)=宮城▽菊姫(菊姫)=石川▽黒龍(黒龍酒造)=福井▽惣誉(惣誉酒造)=栃木▽醸し人九平次(萬乗醸造)=愛知▽七本鎗(冨田酒造)=滋賀▽紀土KID(平和酒造)=和歌山▽出雲富士(富士酒造)=島根▽竹鶴(竹鶴酒造)=広島▽獺祭(旭酒造)=山口