(先週号の独禁法の改正記事に続く)
平成21年独禁法改正で従来はカルテル、談合などに課せられていた課徴金が、不公正な取引方法とされた「不当廉売、差別対価、優越的地位の濫用」にも適用、課せられることになった。
「不当廉売」、「差別対価」は、「同一の違反行為を繰り返した場合(公取委による調査開始日からさかのぼり10年以内に同一の違反行為について排除措置命令又は課徴金納付命令などを受けたことがある場合)」「優越的地位の濫用」は継続して行なわれた場合、に課徴金の対象になる(課徴金算定方法は各違反行為で参照)。
排除措置命令で「止めなさい」というだけでは違反を防ぐ抑止力としては十分ではない。やり得という点もあり今回の改正になった。より抑止力を高め、違反行為を防ぐことが可能となったといえよう。
違反行為をした者に対してペナルティーを課すことによって、違反すると事業者に痛みがともない、より法律を厳しくとらえるようになる。また、多方面から抑止力を高めないといけないという要請もあったという。そういう意味からも今回の改正は違反予備軍に対しても抑止力が高まってくるものと期待されている。
ただ、そうはいっても「正当な競争市場における価格競争を公取委が規制するものではない」のは当然といえよう。消費者は「安い商品を求めて買いに行く」。「公正で自由な競争を促進することは一般消費者の利益確保につながる」のである。「公正かつ自由な競争をして勝ち残っていくことをとらえて、誰も邪魔はできない」といえる。ただし、逸脱した競争であれば禁止事項にあたるとして、取締りを厳しくして、課徴金を課すのである。
実際には、不当廉売などについての【違反行為への対処】は、いかにおこなわれているのか。
一つは「職権探知」といって公取委の中で調査するケースと、「一般からの報告(申告)」がある。独禁法第45条「何人も、この法律の規定に違反する事実があると思料するときは、公正取引委員会に対し、その事実を報告し、適当な措置をとるべきことを求めることができる」とある。「何人も」とあるのは、どのような件であれ、どういう人からであれ、調査の依頼、申告をすることはできる。違反行為に苦しむのであれば「泣き寝入り」することはない。堂々と「申告」をすればいい。だだし、実際に調査するかどうかについては、公取委が判断する。公取委も限られた人員、予算の中で業務を行っているところなので、廉売に関わらず独禁法違反かどうかという申告、情報の中で、公取委が判断をして、問題に取り組むことになる。
以上、改正の一端を記述した。「可変的費用」といった法上の理解しがたい表示から始まり、「著しく」とか、「おそれがある」とか、「繰り返し」「疑いがある」などの表現には戸惑う。個別事案ごとに判断をあおぎ、対処を願うほかはない。
貴重な酒税を担う業界が日々廉売問題に苦しんでいる。独禁法違反行為が発覚した場合、小売から卸へ、卸からメーカーへと波及していくのは必然であろう。例えば、廉売の「原資はどこから出でいるのか」が厳しく問われる。独占禁止法に違反する行為の「未然防止という観点から」も、「リベート等の供与基準の明確化」などがより今回の改正によって求められている。(了)