【鹿児島】焼酎製造業とは無縁の福岡県の業者が、希少価値の高い幻ブランド「森伊蔵」(醸造元・㈲森伊蔵酒造=鹿児島県垂水市牛根境1337)などを、中国の商標局に商標登録申請していることが、同局の公示で明らかになった。公示期間の3カ月以内、来月26日までに異議申し立てがなければ、先願申請者の商標が登録される可能性があり、同社では異議申し立ての準備を進めている。
福岡県の業者の商標登録申請は、2007年11月。森伊蔵酒造の申請は翌08年3月10日。業者は同時期、酒類の幻ブランドばかりを登録申請したもようで、そのなかには鹿児島県以外の焼酎や清酒の銘柄も含まれていたという。すでに無効とされたものを除き、公示されたもののなかに、鹿児島県産・芋焼酎の幻ブランド3銘柄、「森伊蔵」、「伊佐美」((資)甲斐商店=伊佐市)、「村尾」(村尾酒造(資)=薩摩川内市)があった。
森伊蔵酒造の森覚志代表は、「中国へ輸出する考えはないが、(銘柄は)命だから、愛飲家に迷惑がかからないよう、愛飲家保護のため、『森伊蔵』が酒造のものであることを訴えていく」と語る。同社は期限までに、「森伊蔵」が森伊蔵酒造占有の商標であることを証明する資料を揃え、中国の商標登録に詳しい弁理士を通じ異議を申し立てる。資料には同社に関するマスコミ報道や、森伊蔵が現代表の実父である戸籍なども加える予定で、偽物が横行するような事態は許さない考えだ。ただ、申し立て以降、裁定までにどれほどの時間がかかるのかは分からない。
かつて日本国内で、同社商品の偽物が出回る事件があった。その際には「告発し実刑判決も出て」、そうして銘柄を守った。国内では意匠登録を含め、知的財産を保護する手立てを講じてきただけに、海外にまで及ぶ偽物危ぐの事態に、森代表は「こんなに苦労しなければならないなんて」と困惑の様子だ。
経済の急速な発展に、知的財産権の保護が追いつかないのが実情の国が少なくないだけに、個別企業ごとの対策にとどまらない、業団を挙げての対処が必要になってこよう。