【福岡】泉屋酒販(土師康博社長、久留米市)は2月4日、同市の本社イズミホールで第55期繁栄計画発表会を開いた。同社は“繁盛創り人創り”を企業理念に掲げ、酒文化価値の創造を目指す業務用専門酒類販売会社(社員58人)。毎年年初、取引先の酒類メーカーや卸会社、金融機関などの関係者を招き、今期の経営指針を表明している。
「今年はいかにお客様に『ありがとう』と言っていただけるか、喜んでいただけるか、具体的な価値を提供できるかを、全社員が徹底的に取り組み検証する一年にする」(土師社長)。発表会では、得意先飲食店からより一層の満足や喜びを実感してもらえる“ありがとう経営”の実践を強調。増益経営の推進は、社員の幸せの実現にとっても大切なものだとの位置づけで、「酒文化を通した豊かな人生とまちづくりへの貢献」も果たしたいとした。昨年54期の売上高は前年比3%減の30億円弱。経常利益は12%増の約1億円。今年は売上高・経常利益とも同額程度を目標とする。
厳しい経済環境下で核となるのがコア・コンピタンス経営で、他社にはできない、同社ならではの価値提案・提供力を強化。“酒文化の語り部”として5つのバリュー、①文化の香りのする「商品開発・育成力」②魅力ある「飲食空間提供力」③ホスピタリティの高い「人間力」④⑤繁盛支援の「情報活用力」「同質化商品の価格競争力」--を高める。
一昨年には新物流センターが稼働。昨年6月からは、商品の受発注やピッキングなど業務全般の精度・効率を上げる新コンピュータシステムを導入し、事業基盤を強化してきた。同社土師正記専務は、同分野での優位性も生かしながら、「全社員がお客さんと一緒になって、価値を創っていくこと」が課題だと指摘。一層の改革改善に臨む考えを示した。
同社は昭和30年11月、土師軍太氏(現・会長)が創業。土師会長は懇親会の席上、「資本金は10万円。電話がない酒屋はうちだけだった」と創業当時を回顧。その後、借入金を短期完済し融資額を増やしてもらい、さらに短期完済で金融機関からの信用を得ていったことや、25年前には泉屋興産を興し、地元での飲食ビル運営に取り組んできたことなど話した。社史には奮闘が記されている。「よそのお客様でも、取引の酒屋さんの閉店後の追加注文であれば、注文がもらえるのではないかと自転車にほうきとチリ箱を積み、午後8時、10時、12時と飲食店を1日3回訪問した」。
同氏を継ぎ経営のかじを取る土師社長は、「すべてに対し感謝の気持ちを忘れないことが大事。社員に対しても同じで、そのための増益推進。葉や枝ではなく、目に見えない根が一番大事な土台になる」と話す。以心伝心--。勤続表彰を受けた社員は、「定年まで働きたい。家族として切磋琢磨していきたい」と強い絆を言葉であらわした。臨席のメーカー代表は、「目標達成への高い志と執着が泉屋酒販の根底にある」と評価した。