日本酒造組合中央会の正副会長は12月16日、記者会見を行い、辰馬章夫会長が要旨次のように話した。
辰馬会長
昨年、民主党に政権が変わったが、政権が変わったからといって中央会の方針が変わることはない。新政権への私の思うところは、民主党としての国家ビジョンが未だに見えてこないことに懸念を抱いている。まずは景気対策を行うべき。人間の身体で例えるなら、体力をつけるのが先で、手術はそのあと。弱っている身体に手術をするというのは順番が違う。事業仕分けについても、文化や科学技術部分が削られているのは賛同しかねる。仕分け自体は良いことで、無駄の排除は行ってもらいたいが、木を見て森を見ずということにならないようにお願いしたい。
国内の酒類販売については、ここ5年間で6%から7%も減少している。それだけアルコール離れが進行していると言うことで、特に若者の酒を通じたコミュニケーションのあり方が、日常の生活スタイルではなくなっているということが深刻だ。飲んでもアルコールが低いお酒へのシフトが進み、その究極が0・00%と言えるだろう。一方でウイスキーがハイボール人気で復活してきている。これは飲みやすさや値ごろ感といった部分が受け入れられていると思う。昭和30年代の輝きが憧れとして蘇っているとも言える。昭和30年代の輝きが復活するのであれば、日本酒についても盛り上がりを見せる日がくるのではないかと期待している。また、醸造酒全体が食中酒としての魅力や独自性を訴えることが重要だと思う。ワインも敵とせず、一緒になって市場を拡大させようという発想も求められているのではないか。
日本経済はデフレスパイラルで消耗戦に突入しているが、必ず質の高い方へ戻ってくる。われわれは質を高めることを追求していかなくてはならないだろう。しかし、酒は大衆性という役割も担っているので、立ち飲みや屋台でも日本酒が楽しめる雰囲気に持っていかなくてはいけない。また、家庭にも必ず日本酒があるという風にも持っていきたい。それには日本酒の文化、深い味わいと言った飲むことだけでなく、飲むこと以外の酒の提案を中央会では戦略として考えている。
不況の中にも元気な企業はある。そうした企業には何かオーラがある。これからは〝ひらめき力〟を大切にしなければならない。おもしろいところから〝ひらめき〟が生まれる。発明家のエジソンも1%の〝ひらめき〟と99%の努力というが、1%の〝ひらめき〟があるからこそ99%の努力が報われ、さまざまな発明が生まれてきたのだ。業界に一番欠けているのはそこ。今年は寅年。虎視眈々(こしたんたん)と〝ひらめき力〟で、今の業界の曇り空に何とか晴れ間を作っていきたいと思う。