【福岡】熊本県産の日本酒を一般消費者に楽しんでもらう酒会「くまもとのお酒を楽しむ会」が11月10日、福岡市のソラリア西鉄ホテルで催された。熊本県と熊本酒造組合(吉村浩平理事長)が来年3月まで共同で展開する県産酒PR事業の第1弾。隣県の大市場、福岡県の消費者へダイレクトに県産酒の魅力をアピールすることで、イメージアップや需要開拓につなげるねらいだ。
同地の一般消費者を対象に大々的な酒会を開くのは初めてだったが、会費制で約200人が来場。出展蔵元は、酒造組合加盟社のうち9社<亀萬、蓬莱、香露、瑞鷹、千代の園、通潤、花の香、美少年、阿蘇の酒れいざん>。こだわりの日本酒をはじめ、焼酎なども揃え、蔵元自ら商品説明を行い、消費者の生の声を聞いた。会では、熊本県が吟醸酒の仕込みに使われる熊本酵母(協会9号酵母)誕生の地であることが訴えられ、各社ごとにPRの時間も設けられた。
県が全面支援の事業だけに、料理は熊本尽くし。酒菜には一文字ぐるぐるや辛子蓮根、馬刺しや牛ロースステーキ、車海老塩焼き、水前寺海苔の白和え等々ずらり。春雨を使った汁物・太平燕(タイピーエン)や高菜めしも出された。“和らぎ水”としては、加熱処理をしていない「南阿蘇高原水」が添えられた。
参加者にとっても、これだけ多くの熊本県産酒を一度に味わう機会は初めて。福岡市在住の髙木繁弘さん(62)は東北、なかでも山形県の酒のファンだという。「日本酒の方が焼酎よりも美味しい。焼酎があんなに高いのも異常」と日本酒びいきは徹底している。「熊本にこんなにたくさんの日本酒があるとは」との驚きも。酒質については改善の注文もあるようだったが、「勇気がある」と初めての試みにエールを送った。ともに参加した男性は、「熊本の地元に、県下すべての日本酒を呑ませるような店があればいいのに」と語り、美味い酒との出会いの機会が限られている問題も指摘した。
参加蔵元の一人は、「末端消費者との接点づくりは本来、もっと早くわれわれがすべきことだった」と大きな課題を口にした。酒造組合の竹田珠一需要開発委員長は、「時間はかかっても消費末端からのアピールを続けていきたい」との意欲を示した。
熊本県・くまもとブランド推進課の関係者によると、熊本県を訪れる観光客の4分の1が福岡県からで、身近な大消費地でのアピール効果は大きいと判断したという。
今後の事業としては、福岡県内の飲食店とタイアップした県産酒、県産食材PR活動、福岡等の消費者が熊本県下の蔵元をめぐるバスツアーの実施など予定。一方で蔵元は、統一共同ブランド商品の開発を進める。来年3月には、熊本県でも今回同様の酒会を開催。席上、県産酒をアピールするための新ブランドを発表する計画だ。