【鹿児島】芋焼酎仕込み最盛期、蔵元で半日、サツマイモの皮をむく。汗を流すのは芋焼酎「姶良(あいら)」(醸造元・白金酒造=竹之内晶子社長、姶良町)を取り扱う酒販店や料飲店の関係者。汗をかくことで「姶良」への思いを深める。
通常の原料芋処理とは異なり、「姶良」で使う黄金千貫(こがねせんがん)はピーラーを使って皮をむく。くぼみの線条部にも丁寧に刃をあてる。「姶良」の取扱い店“同志”。半日、近況を伝えあったりしながら、なごやかに作業を楽しむ。
毎日曜日、皮むきが続く10月は“姶良月間”と呼ばれる。今年は11月第1日曜日まで、100人程度が参加のもよう。10月18日には約20人が蔵元を訪れ1200㎏の芋の皮をむいた。福岡県北九州市や佐賀市、熊本県水俣市の酒販店関係者の姿。従業員や家族も参加し、子供らも作業を手伝う。北九州市の料飲店主は毎年参加。朝4時、5時に出かけ、蔵へと向かう。
北九州市で酒屋を営む戸成益典さん(59)は、料飲店主など伴い、日本酒や焼酎の蔵を訪ねる。今回も料飲店の大将と一緒。蔵を訪問することで、取り扱う酒への理解を深めてもらえると感じている。自身にとっては、「初心を思い出す」意義が大きい。人でつながり価値観を共有する契機ともなる。別の酒販店主は、「手を入れると一味変わる」とも。扱う熱意も高まる。皮むきには、そうした熱意を蔵元に伝える意味もある。
蔵元は訪問を有難く受け止め、人間関係は造り手・売り手双方の財産になる。皆が、来た時よりも元気になって戻っていく。「あの人も頑張っているから、俺も」。ある酒販店主は気を引き締めるように語った。
木樽蒸留・かめ仕込み「姶良」の発売は平成元年。福岡県北九州市の酒販店が蔵元に、「良い芋焼酎を北九州から発信したい」と訴え、その思いが実った。発売20周年の今、25店ほどの取扱い。皮むきは平成3年から続いている。