全国卸売酒販組合中央会は酒類卸売業としての実行課題と酒類事業企業としての主張をまとめた「これからの時代の酒類事業のあり方」の改訂版を発表した。今回の改訂では致酔性飲料としての配慮や資源・環境問題への取り組み、食の安全・安心をこれまで以上に盛り込み、時代に即したビジョンを示している。
全国卸売酒販組合中央会は酒類卸売業者の主張や提言を取りまとめた「これからの時代の酒類事業のあり方~量から質への転換~」を刊行した。
平成15年10月に同会創立50周年を記念して酒類の特性や時代が求める社会的責任などを再考し、酒類卸売業者の主張や提言を取りまとめた「これからの時代の酒類事業のあり方~社会的管理体制の整備を中心として~」(新ビジョン)の改訂版。 刊行後6年が経過し、この間の酒類事業を取り巻く環境は①コストオン方式に基づく新取引制度の推進②国税庁の「酒類に関する公正な取り引きのための指針(新指針)」の発出③飲酒運転に対する罰則の強化④量よりも満足感を求める国民意識の高揚--などに見られるように大きく変化した。
このような状況を踏まえて、特に①致酔性飲料としての商品特性に対する十分な配慮②資源・環境問題への積極的な取り組み③食の安全・安心への真摯な対応--など、あるべき事業経営や産業政策に対する提言をこれまで以上に盛り込んだ「新ビジョン」の改訂版を刊行した。
改訂版では基本的な構成は維持しつつ、新たな記述や踏み込んだ詳細な記述を行った。
“1”環境の変化について=①この間、わが国が本格的な人口減少・少子高齢化社会へ入った②情報化の進展によりEDI(電子発注システム)やインターネット販売が幅広く普及してきた③交通・通信網の発達により、卸売事業者の営業エリアがより広域化した④頻発する食品偽装事件などを踏まえ、酒類に対する社会的要請や管理体制の強化が求められている⑤平成17年のビール類を初めとして酒類のオープン価格化が急速に進んできた--。
“2”国民の健康に関して=①WHOにおいて、酒の有害な摂取による健康被害に対し、その対応策を包括的に取りまとめるべく作業が行われている②消費者の「食の安全・安心」に対する関心が非常に高まり、例えばトレーサビリティへの取り組みが求められている③未成年者飲酒防止の一環として対面販売を定着させていくため、平成15年には酒類販売管理者の選任が義務化された④酒類であることの表示に加え、妊娠中や授乳期における飲酒の影響などに関する表示が強く求められている⑤商品特性としてこれまでの「百薬の長」に加え、「老化防止」や「美容効果」にも言及した⑥飲酒運転防止のため、料飲業者も対象とした罰則の強化や、ハンドルキーパー運動への取り組みが進んでいる--。
“3”資源・環境関係について=①地球温暖化の進行を防ぐため、低炭素社会の実現が要請されている②エネルギーの効率的活用のため、例えば中小事業者の共同配送のように物流の効率化が求められている③容器のリターナブル化に加え、より包括的な3R(リデュース、リユース、リサイクル)の推進が求められている--。
“4”酒類事業者としてあるべき経営=①企業に対する評価基準が売上高や業界シェアから食の安全・安心、社会貢献、環境への取り組み姿勢などに移行してきている②国税庁より平成18年に発出されたいわゆる「新指針」の遵守③量から質への転換が強く求められている(売り上げ重視から収益重視の企業へ)④コスト・オン方式による新取引制度の定着に向けて、価格体系の見直し⑤すべての事業者が的確な需給見通しに基づき、適正生産を行うことの重要性--。
“5”行政への要望関係=①酒類事業法(仮称)の制定に関して、経緯や背景を加えるとともに、同法のイメージがなかなか掴みにくいとの意見を受けて、同法の骨子(案)を資料として添付した②「酒類白書」の刊行を提案した--。