酒類総合研究所は10月5日、専門紙記者団と会見を行い、平成20年度の業務内容と平成21年度の業務計画などを説明した。また、“1”清酒の老香原因物質の発見“2”清酒酵母の醸造特性の量的形質遺伝子座(QTL)解析“3”気象情報により米の溶けやすさを予測“4”酒造りの技術・技能チェックシートの開発--といった最近の研究成果も報告され、説明した。
会見で同研究所の平松順一理事長は、平成20年度における業務実績の評価について、「当研究所の業務の実績は、第一期中期目標期間終了時の見直しに対する取り組みはもとより、平成19年12月に閣議決定された独立行政法人整理合理化計画の内容についても積極的に取り組んでおり、第二期中期計画に照らして良好であると評価された。しかし、個々の項目では指摘された点も多々あり、今後は指摘にそって改善しつつ事業を推進していく」と述べた。
最近の研究成果の報告では、“1”清酒の老香原因物質の発見…ジメチルトリスルフィド(DMTS)は清酒の貯蔵中に発生する劣化臭として知られているが、DMTSの元になる成分の一つであるDMTS-P1を新規化合物として発見した。これが2倍になるように清酒に天下すると貯蔵によるDMTS成分量が2倍になったことから、DMTS-P1の生成を制御することで劣化しにくい清酒の製造につなげていきたい“2”清酒酵母の醸造特性の量的形質遺伝子座(QTL)解析…アルコール発酵力と香気成分の生成に関与する25個の遺伝子座を決定し、これらの遺伝子座が総合して醸造特性を構成していることを明らかにした。また、優れた醸造特性を持っている清酒酵母にもマイナスに作用する遺伝子が存在することを確認した“3”気象情報により米の溶けやすさを予測…イネ登熟期の気象データとデンプン特性および蒸米消化性との関係を解析し、イネ登熟期の平均気温が高いとデンプン中のアミロペクチンの側鎖が長くなり蒸米が消化されにくくなることを明らかにした。イネ登熟期の気温を基に米の溶けやすさを予測することができ、原料米の利用率向上や清酒の品質向上を目指した酒造りへの活用が期待される“4”酒造りの技術・技能チェックシートの開発…清酒醸造の主要な6工程について従事する人に求められる技術・技能をクドバス法によって分析した。分析で抽出された要素を酒造技術者の意見や品質管理マネジメントで使用されるPDCAサイクルの考え方などを参考に整理し、技術・技能レベルがチェックできるシートを取りまとめた。