酒中連 酒類事業法の制定を求める

 酒類業中央団体連絡協議会(以下酒中連、加盟・日本酒造組合中央会、日本蒸留酒酒造組合、ビール酒造組合、日本洋酒酒造組合、全国卸売酒販組合中央会、全国小売酒販組合中央会、日本ワイナリー協会、日本洋酒輸入協会)は、10月21日に財務省、国税庁に提出する「平成21年度の酒類業界の酒税関係統一要望書」をまとめた。酒中連からは、早急な全酒類についての酒税減税、酒類産業の健全な発展のための措置などが訴求され、各団体からも関係酒類の大幅な酒税減税などが要望された。なお、政権交代の影響により、政府与党への提出時期は現時点で未定だ。

 今回、酒中連が要望しているのは、酒税の減税、酒類の健全な発展のための措置、貸し倒れに伴う還付措置の創設、制度の簡素合理化の4項目。 酒税減税については「酒類には、依然として高額な酒税が課されており、突出した税負担となっている。酒類業界の現状は出荷は伸びず、経済不況の中、規制緩和の進展などによる厳しい販売競争、価格競争のため、最終的に消費者が負担すべき税の転嫁が困難となっている」としている。

 また景気の低迷により、消費者は生活防衛のため酒類の価格に極めて敏感になっていることから、酒中連は「増税は逆に酒税収入の減少をもたらす。酒類業者の健全な経営のため、ひいては酒税収入を安定的に確保するため、早急に全酒類について減税を行ってもらうよう強く要望するとしている。

 今後、消費税が見直される可能性が高いことに関連し、その時には酒税の減税を実施するよう強く要望していく。酒類には、過去の度重なる増税により極めて高額な酒税が課せられ、これに消費税が併課(いわゆる「タックス・オン・タックス」)されているのが現状だ。そのため、酒中連では、仮に消費税率の引き上げを行う場合には、酒税制度の見直しを行い、酒税の大幅な減税による、負担の是正を図ってもらうよう要望を行っていく。

 一方、酒類業界の健全な発展に向けて、酒類事業法など、新たな法律の制定も求めていく。現行の酒類関係法体系は、主として、酒税法、酒類業組合法の二法により成り立っているが、これら二法の制定(昭和28年)以降、経済・社会情勢は大きく変化したにもかかわらず、今日まで抜本的見直しは行われていない。

 酒類は担税物資であり、アルコールを含む特殊な飲料であること。また、酒類産業は中小企業が多いことなどから、財務省設置法がその任務として「酒税の保全」に加えて、「酒類産業の健全な発展」を揚げたことを評価するとともに、今後は行政組織法上の改正に合わせ、酒類関係法体系について、免許制度などの現行の必要な制度を堅持しながら酒類産業の健全な発展つながるよう、酒類事業法の制定を求めていく。

 酒類販売業免許制度については、酒税制度の根幹をなすものだが、先進諸外国では、社会的管理の必要性から、わが国より厳しい規制がしかれているケースが多い。

 わが国では政府の規制緩和政策により、酒販免許における需給調整要件が廃止されたが、この制度は酒税保全だけでなく、酒類の社会的管理の必要性との面からも必要不可欠の制度であり、酒類産業の健全な発展のため、国際的整合性のある制度構築と、適切な運用をさらに要望していく。

 公正な取引市場の確保も業界にとっての大きな課題になっている。ルールに基づいた競争の促進や酒類産業の健全な発展を図るため、国税庁は平成10年4月に「公正な競争による健全な酒類産業の発展のための指針を、18年8月には「酒類に関する公正な取引のための指針を示した。

 公正取引委員会においても平成12年11月に「酒類の流通における不当廉売、差別対価への対応について」(酒類ガイドライン)を発表し、また、17年11月には「大規模小売業告示」が施行されるなど、活動の強化が図られつつある。

 一方で、不当廉売、差別対価、優越的地位の濫用など、不公正な取引行為を課徴金適用の対象とすることなどを盛り込んだ、独占禁止法改正法案が6月3日に成立した。現在公正取引委員会において、1年以内の施行に向けて準備作業が進められているが、多くの中小企業を抱える酒類業界が不当な取り扱いを受けることのないよう、酒類ガイドラインの大幅な見直しなどにより、不公正な取引行為に対する抑止力を一層高め、改正独占禁止法が厳正に運用するよう要望していく。

 今日の酒類市場は、需要が飽和状態にある中で消費不況の影響を受け、出荷は伸びず、販売競争は激化を極めており、加えて近年の政府の規制緩和策の推進や消費者の低価格志向を反映し、市場は価格競争一色となっている。

 このため酒類業者の経営は製造業者、販売業者ともに悪化の度合いを高めており、このような酒類業者の経営悪化の影響を受け、酒類販売代金の貸し倒れの発生も高水準となっている。

 酒類は価格に酒税を含んでおり、貸し倒れが発生したときの酒類業者の受ける痛手は、中小零細業者が多いこともあり、極めて大きいものがある。現在の法制度では酒類販売代金が回収不能となったとき、その代金に含まれる酒税については、還付規制がないため結果的に酒類業者が負担せざる得ない。

 間接税の中で、消費税、石油ガス税、軽油取引税には貸し倒れに係る税の還付制度が設けられている。同じ間接税でありながら、酒税にこの制度が認められていないのは不公平であり、今後は酒類業者に新たな負担を強いることのない形で還付制度を創設してもらうよう要望するとしている。

 また、酒税制度の簡素合理化については、強く要望してきているところであるが、平成15年度の酒税法改正によりその一部が実現したものの、まだ、多くの義務規定が残されている。引き続き、抜本的な見直しを行ってもらうよう要望する。また、局地激甚災害指定を受けた地域に対し、速やかな関係法の適用と被災酒類に係る事務手続き、並びに酒税還付付手続きの簡素合理化を要望する。

(掲載日:2009年10月02日)

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