国民不在の政治に、怒りの声が直撃--。今回の選挙では、官僚寄り、国民・零細企業切り捨ての政権と決別し、新たな政権与党が生まれるための支援をするよう、小売中央会に要望いたします。国民を不幸にする今の酒類販売のあり方にメスを入れる免許制度の見直しや再構築、さらには酒販年金被害者の救済についても、新政権下では活路が開けそうな期待を持っています。薬害エイズの闇を政治家が暴いた、その再現を、わが業界の問題に対しても、踏み込み実行いただく強力なアプローチが、今まさに中央会には求められていると考えます。
今の酒類販売の現状は、廉売行為が美徳とされ、致酔飲料であるアルコールを垂れ流し。その結果、依存症患者は少なくとも200万人を超え、加えて“依存症予備軍”は800万人に上るとの見方もある。大量のアルコール飲酒が原因の依存症等疾病に対する医療費は年間1兆円超、その他諸々、過剰飲酒がなければ不要の“社会的コスト”は6兆5千億円に上るとの推計もあります。対して国の酒税歳入は1兆4千億円(平成21年度予算額)しかない。税制面でも、問題への対価を酒類メーカーは負担していないのが実情です。
選挙を控え中央会は、酒類の致酔性を基本とした制度構築を実行する可能性のある政党への支持を示し、その政党への組合員の投票を呼びかける行動を起こすべきだと考えます。当該政党は、国の官僚支配に異論を唱え薬害エイズの真相を究明し、被害救済した政治家を有す政党に他ならない。各党マニュフェスト、細部においては免許制度への対応、酒販年金事件への対応を精査し、推薦政党を切り替える決断が必要ですが、中央会の対応はこれまで通り、という判断をするのでしょうか。
中央会と傘下組合は、御上が酒団法に基づきつくったものですが、酒税法や酒団法は変わらないまま、通達によって、無意味なものになってしまったのが現実です。現状の産業行政はいわば、官と与党連携で行われてきたわけで、今回の選挙を、その枠組みを変えるチャンスにしなければならない。
これまでの中央会の人事や施策は実際、組合員のためのものではなく、執行部役員の保身のために、問題を先送りしてきたものに過ぎないように見えます。年金問題を見れば明らかでしょう。今まさに、酒類業界をここまで不毛なものとした政治に異を唱え、組合員のための決断をすべき時期に来ている。与党と一枚岩の財務省・国税庁に身をゆだね、何の行動も起こせない中央会であるのなら、そのリーダーの資質を問わねばならない。闘えない役員、組織では活路は開けないのです。
資産を食いつぶし続ける中央会。その財政難にあっても、役員報酬の持ち出しは続いている。年金の破綻情報を先取りした組合幹部による“インサイダー解約”の真相究明や責任追及もうやむやのままだ。加盟酒販店2万2千人が、老後の命の生活費を失うという被害に遭っているのに、個人情報保護法を悪用し、実態把握すら行わない。実態は、関事務局長一人に責任転嫁し、自分たちの責任を闇に葬り去ろうとしているに過ぎない。
酒販年金共済制度は、国税庁の肝いりで始まった事業であり、組合が加入勧奨してきた事業です。だから、被害者の側には、運用に問題があれば是正されるはずとの思い込みがあって、加入し掛け金を払い続けたのである。加入者の個人責任なんて、とんでもない。加入者以外の組合員も、訴訟費用など中央会資産の流出で被害を被っているのである。
事実の解明、被害者救済に動かなかった国税庁も、政権が代われば、そうはいかないでしょう。問われなかった監督責任も大きな問題になろう。世論と零細酒販店の怒りが頂点に達し、“江戸の仇(かたき)を長崎で討つ”機会を得たのです。私は平成4年、自民党代議士やその紹介で国税庁審議官へ免許制度を守るよう陳情に上京したことがあります。その際には両氏とも、まちの酒屋を見捨てずに守ると約束をしたわけですが、約束は反故にされた。仇を討つ選挙が、目前に迫っています。
今度こそ政治が変わると期待しています。現政権にだまされ続け、政権交代を待っていたのですから。三枚舌、五枚舌の施策で、全国の零細酒販店は自助努力の限界を超えた窮状に追い込まれ、酒類業界のなかで抹殺され、生活を奪われました。中央会にもこれまでの支持政党にこだわらない選択を行動で示すこと、次期政権には国民のために尽くす脱・官僚、政策立案でも主導権をとる、そうした温かな血が通った施策への転換を望んでいます。
都合の良い文言を閣議決定に潜り込ませ、酒税法の改正もせず、強烈な規制緩和を進めた結果、零細酒販店は消えてしまう運命に直面しています。私たちはこの苦しい実情を訴え続けてきましたが、酒税の取りはぐれがない庫出し税を良いことに、メーカーを手厚く保護するだけの片手落ち、現行酒税法を骨抜きにした産業行政しか行われてこなかった。多くの酒販店主が自殺に追い込まれても…。これは万死に値する所業で有ります。
全国の酒販組合員は減少し10万人を割り込んでいるとはいえ、大きな組織であることに変わりはありません。かじ取り次第では、もっと大きな影響力を持つことができる。官僚に丸め込まれ、主張もできないのでは活路はない。現執行部は、年金事件後に失った信頼回復のために刷新されたものだと認識しています。ところが、事件当時の関与者をいまだ職にとどまらせたままで、これを刷新といえるのか。人事権の行使を含め、リーダーの資質が問われています。
かつて中央会が官僚の頭越しに、政権与党に要望し、そのことが官僚の機嫌を損ねてしまったことが、確かにあった。しかし、今の状況は当時とは全く違う。現政権与党に同調する業団に未来はあるのか、ということです。
地方の零細酒販店は火の車で生き死にの世界をさまよっています。政権を取ろうという政党には、厚生行政の改革も大きく期待できます。薬害エイズの闇を暴いた政治家がいる政党です。致酔飲料の特殊性に立脚した国民健康に資する制度の構築、及びそのための産業行政を主導していただくことを強く願っています。飲酒に起因する社会的コストの低減を図りながら、その応分負担を酒類業界に求める酒税制度の改革も必要だと考えています。今の酒税納付では現実、社会的責任を果たしているとは言えません。致酔性を主軸とした施策を打つには、厚労省との連携も視野に入れなければならないと考えています。
百年先まで希望が持てる業界。その業界では日本の酒文化を守ることができると確信しています。私たちも、国に貢献できる業界であることを希望しています。
(長友武彦=宮崎県日向市)