近畿人材養成研修会 業界の今後の展望

 【兵庫】日本酒造組合中央会近畿支部(西村隆治支部長)と、近畿清酒青年協議会(大倉博会長)の共催による「近畿人材養成研修会」が7月14日、西宮市のノボテル甲子園で開催された。同会は清酒製造業の将来を担う人材育成を目的に行っている。今回は日本酒造組合中央会会長・辰馬章夫氏の「中央会情勢報告」と、アメリカ人の日本酒専門家で第1回(平成18年)「酒サムライ」叙任者でもあるジョン・ゴントナー氏、立川流二ツ目の落語家・立川志ら乃氏を講師にむかえての講演が行われた。

 主催者を代表して西村支部長は、「清酒の平成20年度課税移出数量が約361万石。昨年のサブプライムローン問題と、今年の新型インフルエンザの影響から、清酒消費の底打ちが先に伸びた感があるが、『日本酒で乾杯推進会議』の会員が現在2万1千人を超えた。こうして会員を増やしていくことが力になり、いろいろな可能性を広げることになる」と語り、中央会の活動への理解と共同行動を求めた。また来賓あいさつのなかで、大阪国税局酒類監理官・野口託男氏は「消費者の食の安心・安全への関心が高まっている今日、製品の安全性の確保に十分注意し、表示の適正性を徹底し、各種の法令を遵守してほしい」と語った。また大阪国税局・芦屋税務署の酒類指導官部門が廃止され、灘税務署および芦屋税務署管内の相談などは西宮税務署の酒類指導官部門が担当することも報告された。

 講演ではまず日本酒造組合中央会の辰馬会長が、立場上の思いを語った。同氏は今年6月に組合史上初めて沖縄で開催された第56回通常総会と、約3700人の来場者があった『日本酒フェア2009』について述べ、「イベントは盛況だが、実需は低迷している。そのギャップを埋めることが課題であり、今後はもっと外国人、流通業・料飲店関係者の来場を増やすべく、アピールしていく必要があるのではないか。またアルコール離れから、酒類全体の消費が減っていることに加え、ビールは新ジャンル、焼酎は甲乙混和の方向へシフトし、購買単価が下がるダブルパンチを受けている状況で、まだまだ清酒業界は忍耐力が試される。だがもっと悪いことは、負の局面ばかりをとらえ、業界自体が『売れなくてもしょうがない』とあきらめてしまうこと。危機感を持つことは大事だが、プラスの波動を作っていくことが重要。マスコミは『駄目な清酒』『遅れている業界』といった、消費者の飲もうという気持ちをなくすような書き方を定番化しないでほしい。また21世紀という長いスパンで見たとき、生活の質を高める『スローライフ・スローフード』というトレンドが見られる。ここには心安らぐ和の要素への回帰も含まれ、清酒の飲まれる食文化の出番がある。そのため、清酒の魅力を明るく前向きに語りかけていく準備を、今からしておかなければならない」と強調。おいしいお酒が飲めなかった日は、無駄な1日だったと思えるようなメッセージを発信していこうと述べた。

 続いてジョン・ゴントナー氏が、「海外における日本酒の普及を阻む問題とその解決策~日本酒普及のため輸入業者・卸売業者・プロモーターがどう動いているか」をテーマに講演。「米国に登録されている日本酒は700銘柄以上で、実際に流通しているのは約400銘柄。ニューヨーク市ではそのうち約300銘柄が簡単に手に入る。また輸入代理店によると、マージン分を考えれば、20ドルを切る商品は難しい。また最近経済状況が悪く消費者が新しい銘柄を試して飲むということをしないので、高い商品・新しい商品は売れず、安心して購入できる、今までに知名度のある商品がよく売れるという。銘柄名も、日本語よりも英語でつけた方が覚えてもらえる。現在日本酒の浸透に何がネックになっているかというと、消費者だけでなく、流通業者や営業マンが日本酒に慣れ親しんでいないこと。日本酒を売るためには麹や精米歩合の知識など、売る労力と時間が必要となるので、営業が非効率的になる。それでも日本酒の人気は定着してきているので、今後教育や啓もう活動を続けることで、市場はまだまだ拡大する可能性がある」と語った。

 また立川志ら乃氏の講演「酒のある落語風景~伝統を現代に。現代を伝統に~」では、酒にまつわる落語を2席披露。清酒業界と同じく落語も、伝統を受け継ぎつつ大衆性を忘れてはならないことを、笑いを交えて楽しく話した。

(掲載日:2009年07月30日)

トラックバック
このエントリーのトラックバックURL:
http://www.jyokai.com/cgi-bin/mt/mt-tb.cgi/3004


<最近の記事>

  • 若竹屋酒造場 伝える力はぐくむ

  • わんまいる 新年大会「絆」フェスタ

  • 平成20FY酒類消費数量 852万klで2.8%減少

  • 高松小売と県業務用品部会 今年から合同で新年会

  • メルシャン事業方針 2010年は2%増を目指す

  • 11月洋酒出荷 13万7千klで16%増 

  • 明治屋 高島屋大阪店に新店

  • サントリー 国産最軽量2lペットを発表

  • ビール酒造組合 CMの自主基準を強化

  • “広島の酒”東京でPR 「ふるさと祭り東京」に初出展

  • 当サイトに掲載の記事・写真・図表等の無断転載を禁じます。
    著作権は、株式会社 醸界タイムス社に帰属します。
    Copyright© 2010 The Jyokai Times. All rights reserved.
    個人情報リンクトラックバック