【東京】日本酒の一大イベントである「日本酒フェア2009」が6月17日に開催された。昨年同様、池袋のサンシャインシティ・ワールドインポートマートで「第3回全国日本酒フェア」と「平成20酒造年度新酒鑑評会公開きき酒会」の同時開催で、来場者数は前回を上回る3700人を記録。潜在する日本酒需要の高まりが伺えた。
オープニングセレモニーでは日本酒造組合中央会の辰馬章夫会長があいさつ。公開きき酒会については「日本文化である國酒が会場いっぱいに花開いている。五感をフルに活用してきき酒を楽しんで欲しい」と来場者に呼びかけた。日本酒フェアについては「こちらは吟醸酒だけではなく純米酒、本醸造酒、日本酒ベースのリキュール、など多様なものが出品されている」とし、「お花畑は一色では魅力がない。文化は多様性を持つことで価値が出てくる。全国の蔵元が一堂に会しているこの場で各蔵元と交流を深めてもらい、お気に入りのお酒を発掘して欲しい」と述べた。
続いてあいさつを行った(独)酒類総合研究所の平松順一理事長は「全国新酒鑑評会は今年で97回目を迎えた。暖冬で酒造りが難しい年ではあったが、杜氏が持てる匠の技をフルに活用し素晴らしい酒ができあがった。この酒を飲んでいただき、清酒に対する理解を深めてもらい復活を期待している」と同イベントに対する期待を語った。
その後、両氏と日本酒造組合中央会・清酒技術委員会の土井清幌委員長、同・需要開発委員会の佐浦弘一委員長の4者でテープカットが行われ「日本酒フェア2009」が盛大に幕を開けた。
公開きき酒会は酒類総研と清酒中央会の共催で東京に会場を移してからは3回目の開催。会場には金賞受賞酒と入賞酒456点が勢ぞろい。蔵元の技術の粋を結集した酒が一度にきき酒できるとあって、朝方から沢山の来場者が訪れた。会場運営としては今年も一部と二部にわけることで混雑を緩和。出品酒のラインを4列に増やすなどして、人の流れをスムーズにする工夫も見られた。
全国日本酒フェアには鹿児島県、沖縄県を除く45都道府県が参加。各酒造組合(連合会)がさまざまな趣向を凝らしたブースを展開し、合計800銘柄のお酒を持ち寄った。各ブースでは県独自の酒米を使ったものや、日本酒だけではなく日本酒ベースのリキュールなども多々見られた。山形県は県で生まれた酒造好適米「出羽燦々」で醸し、「純正山形酒審査会認定証」が貼られた純米吟醸酒「出羽33(でわさんさん)」をメインに出品。厳しい審査を通った同銘柄をアピールすることで、日本酒のイメージアップを図っていた。佐賀県では日本酒バーを展開。カウンターで日本酒を提供する粋な趣向で、佐賀のりのつまみとともに28種類の銘柄を来場者に振る舞っていた。そのほか、愛媛県は立ち飲み屋の雰囲気を会場にそのまま持ってきた。気軽に入れる状況を作り、蔵元と来場者が丸いテーブルを囲む。コミュニケーションを図ることにより日本酒への理解を深めてもらう目的で、各テーブルでは来場者がお酒に関する話題を蔵元とともに楽しんでいた。
ほかにも、日本酒造協同組合連合会、日本ライスパワーネットワーク、長期熟成酒研究会、日本酒造青年協議会がブースを出店。日本酒造青年協議会は「インターナショナルワインチャレンジ2009」の金賞受賞酒を出品し、来場者の注目を集めていた。
また、日本酒セミナーを開催するなど初の試みも。日本酒造組合中央会理事の高橋利郎氏が「日本酒の味が一層楽しめるきき酒の方法」、ソムリエ、きき酒師の木村克己氏が「日本酒一滴 生活素敵キャンペーンについて」と題し講演を行った。高橋氏は特定名称酒の違いをわかりやすく説明。きき酒が上達するポイントとして「感じた香り、味の濃淡、後味を頭の中でイメージし味を記憶しておくことが重要」と語り、参加者の関心を集めていた。用意された席はセミナーが始まると満席に。立ち見が出るほどの盛況ぶりだった。
今回も多数の来場者を集めた日本酒フェア。消費者の日本酒に対する関心の高さが伺えた。
日本酒造組合中央会 辰馬会長談話
「第3回全国日本酒フェア」は日本酒造組合中央会の主催で45都道府県酒造組合(連合会)が出展し、全国各地の蔵元の銘酒約800銘柄を展示し、試飲と販売を行った。
全国各地の気候・風土の醸す多種・多様な日本酒との出会いや蔵元との酒談義を通じ、日本酒の魅力を新発見・再発見、さらには文化の多様性を楽しんでもらえたと信じる。
また、本年は新たな試みとしてセミナーを開催。日本酒のスタイリスト・ソムリエ木村克己氏による「日本酒一滴 生活素敵キャンペーンについて」と、日本酒造組合中央会の高橋利郎理事による「日本酒の味が一層楽しめるきき酒の方法」。日本酒の良さについて一層理解を深めてもらったと考える。
今回の「日本酒フェア2009」は、新聞、各種フリーペーパー、WEB紙面などで幅広く周知されたこともあり、午前10時から午後8時までの10時間の間に3700人もの人が来場し、感謝している。
私ども、日本酒造組合中央会としては「公開きき酒会」については、昨年に引き続き午前と午後の2部制を採用するとともに、各出品酒2列のラインを4列にして流れをスムーズになるようにした。また、「全国日本酒フェア」については、昨年と同じ会場を確保し、ゆったり各県の銘酒を味わってもらうよう工夫した。両会場とも、来場した人たちには日本酒の良さを十分楽しんでもらえたと思う。
最近、日本酒の需要が伸びず平成20年度の日本酒の課税移出数量は65万klで、酒類全体に占めるシエアが7・2%と1割を切る状況にあるが、「日本酒フェア2009」には若い人や女性にも多数来場してもらい、新たに日本酒ファンになった人も多いと確信した。
「日本酒フェア2009」も賑わいを目の当たりにし、また、蔵元が多くの日本酒ファンの意見を直接聞くことができ、中央会傘下の各地の蔵元にとって大きな励みとなった。
私どもは今回の反省点を踏まえ、各蔵元が消費者に喜ばれる創意工夫した酒造りに努力するとともに、日本酒フェアの運営を改善すべき点はさらに改善し、来年の「日本酒フェア2010」に備えたいと考えている。