【佐賀】佐賀県卸売酒販組合(七田秀徳理事長)は6月17日、佐賀市の若楠会館で組合員6社の営業マンを対象に研修会を催した。料飲店経営者と県内の蔵元の対談などを通じ、地域の卸業者に求められる役割を感じとってもらおうと企画したもので初。酒類販売の取引において全国卸の優位性が市場を支配するなか、地方卸の活路を探る試みとなった。
当日は約50人が参加。七田理事長は、業界が公正取引を目指しているものの、揺り戻しの厳しい状況があると指摘。「ぜひ日本酒や焼酎で付加価値を求めていけるよう、消費者目線で機能と価値を高めてほしい。知恵を出す競争でなければ生きてはいけない。一つでも何かをつかみ役立ててほしい」と研修会開催の主旨を語った。
第1部“営業マンに必要な税の知識”では、佐賀税務署・長谷川康二上席調査官が、詰め替え販売の手続きや小売業免許申請などについて説明。他の担当官は公正取引について論じ、利益を度外視した営業行為を行わないよう求めた。
引き続き“料理人からみたお酒のサービス、お酒をおいしく飲んでいただくには”--をテーマに企画した第2部で、サンタフーズ・森山俊弘代表、窓乃梅酒造・古賀醸治代表が登場。
古賀氏は県内で清酒「窓乃梅」等の酒類を醸造する蔵元。森山氏は料理人であり、「“酒肴菜飯”志乃」(佐賀市)をはじめ、佐賀県が地産地消をアピールする県庁内のレストラン経営を任されている人物で、県産の“原産地呼称認定酒”<県産原料100%で官能審査もクリアした純米酒と本格焼酎>を楽しむ会や、ワインの会なども定期的に催してきた。その両氏が持論を展開。営業マンが日々の販売業務を価値あるものとするための意識改革を促した。
森山氏は開口一番、「どうすれば喜んでいただけるか」。古賀氏が酒類の品揃えの基準を問うと、自らの師の言葉を引用し「料理に対しては水みたいなものでなければならない」と答え、そのことが主とする料理を生かすとした。逆に酒を主とする、酒を邪魔せず引き立てる料理の提案も。料理と酒のマリアージュについては、「魚卵とワインなど絶対にだめなもの、反対に絶対いいものをしっておけばいい」とした。
「刺身とワインだと生臭く感じるが、日本酒は臭いを消す」と古賀氏。森山氏は「日本酒も燗だと肉に合う」と語り、さまざまな温度帯で楽しめる日本酒の魅力を指摘した。また両氏とも、器で味わいが変わると強調。器を、酒類の楽しみの幅を広げる重要なツールだと位置づけた。
地産地消を意識した料理の素材については、「こだわって作っている、生産者の顔が見えるもの」(森山氏)を重視。酒の卸・小売においても、生産者の顔を伝えようとする情熱が問われるとした。
佐賀県産の日本酒について古賀氏は、「大都市で評価が高まりつつある」との手ごたえを示した。森山氏は「(佐賀酒は)日本で一番甘い。甘いは美味い。反面、重たく感じることがある。熊本県には低アルコールの日本酒に力を入れている蔵がある。アルコール分の低さでぼやけるのを、酸を生かし安定させている。さらに発泡性のものも出すとのことで、こうした甘めの高酸酒は伸びる可能性がある。佐賀ではいいものができる可能性が大きい」と一層の商品開発を求めた。
ビールの納入は他の業者にと言う納入小売店へは苦言も。森山氏は、その小売店は有名銘柄を仕入れることができるとアピールするが、それが果たして納入の飲食店、その店に来るお客さんが喜ぶことなのか、との疑問を呈した。仕入れたワインは短くても1年は熟成させ提供するとのこと。これも喜んでもらうための、お客さんには見せないこだわりだ。酒ごとに提供の温度帯を助言する灘の大手蔵元、その造りや販売の姿勢も称えた。「それがエンドユーザーのお客さんの感動を生む」。
古賀氏の結び。「消費者はいろいろな情報をほしがっている。伝えるのは卸さんの力」。商品の価値を失わないように、さらには増幅し伝える橋渡しの役割に期待を寄せた。