日本酒造組合中央会は平成22年度に控えた米政策の大変革を前に、日本酒、本格焼酎、みりん二種業界の要望をまとめ、6月24日に石破茂農林水産大臣宛てに提出した。
要望書では①酒造用原料米は非食用加工原料のため「酒造用原料米制度」の確立をお願いしたい②日本酒、本格焼酎およびみりん二種が、世界に誇る伝統民族酒「國酒」としての地位を保持し続けるため、良質の原料米を国際価格並みで安定的に供給していただきたい--の2点について強く要望した。
【酒造用原料米についての要望】
わが国農業の基幹作物である「米」を主原料とし、わが国の歴史と伝統に育まれた日本酒は、まさにわが国の「國酒」であり、日本酒業界においては長年にわたり国内産の新米を使用することを基本として、日本の米政策に対して多大な貢献をしてきたと自負している。
最近の酒類業界は、国際化の大きな流れの中、市場の自由化が急速に進展し、内外酒類間の競争は著しく激化しており、わが国固有の酒類である日本酒は、安価な外国産原料を使用できる他酒類との競争において、価格面などで極めて不利な状況におかれている。その結果、最近では業界内においても、安価な原料米の調達に動き、問題を起こすなど、本来の「國酒」日本酒に反する実態が生じていることに深い危惧を抱かざるをえない。
このような状況の中で、日本酒の需要は大きく減退し、ピーク時の4割以下にまで落ち込んだほか、地域経済にも貢献してきた業者の数は年々著しく減少し、その6割以上が欠損低収益企業となるなど、業界存亡の危機に直面していると言っても過言ではない。
「國酒」たる日本酒がわが国酒類全体の1割を大きく下回るという事態となり、結果として原料としての米の消費量を大きく減少させている現実は、わが国全体の問題として看過できる問題とは到底思えない。日本酒業界としても、新商品の開発や商品の多様化に積極的に取り組むとともに、日本酒の原点である「米を重視した酒造り」を戦略的に進めるなど、様々な対応に努めているが、自らの努力のみで解決できるものではない。
このような中にあって、平成7年産から導入された加工用米制度は、日本酒用原料の安価での安定供給にある程度貢献してきたが、当初から、希望する銘柄の指定ができなかったことに加え、近年では、供給量の大幅な減少と価格の上昇により酒造用原料米として魅力がなくなりつつある。特に平成20年産価格は豊作であったにもかかわらず大幅に引き上げられ、平成21年度についても既に大幅な値上げが決定されている。
全国の日本酒生産者は、加工用米に代わる安価で良質な国内産原料米の安定供給を強く求めており、米政策全般の中において加工用原料である日本酒用原料米に関し、何らかの特別の位置づけと所要の措置がとられることを、あらためて業界として強く要望する。
また、昨年の事故米穀事案の発生を踏まえ、日本酒と同様に、わが国の伝統的な民族酒である本格焼酎やみりん二種の生産者も、安全で安価な国内産原料米の安定供給を強く求めている。
このような時、平成16年からスタートした米政策改革は、6年間の数々の施策を経て、平成22年度には「米づくりの本来あるべき姿の実現」を図る年とされ、米政策の大きな変革が予定されている。また、米関連3法案を審議した今国会の衆参農林水産委員会は、全員の賛成をもって「新たな食料、農業基本計画の策定に当たっては、食料自給力の強化と食料自給率の向上を図るため、水田の有効活用方策や米の生産調整の在り方などについて、関係者の意見を十分踏まえつつ、長期的視点に立った施策の構築を図ること」との付帯決議を議決している。
加工用の原料としての米の需要は、その適正と価格次第で大幅に伸びる可能性を持っており、特にわが日本酒業界においては、その高価格ゆえに米消費節約型となっている現在の業界体質につき戦略的転換を図るべく、業界活性化に向けて総力を挙げて取り組んでいるところである。より多くの米を使用する日本酒の需要が伸びれば、米の消費者の増加に結びつくことはいうまでもない。
このことは、「國酒」たる日本酒のためのみならず、米消費の拡大を通じ米生産者も裨益(ひえき)し、ひいては、社会的コストの軽減などを通じ国民的利益にも合致するものであると信じる。
以上のような現状を踏まえ、日本酒、本格焼酎およびみりん二種業界は、わが国の伝統的な民族酒としての地位を確保し、消費者に今後とも安心安全な酒類を提供するために、次の施策を実現してもらうことを強く要望する。
(1)日本酒、本格焼酎およびみりん二種の原料米は、非食用加工原料であるとの認識にたち、「酒造用原料米制度」の確立を願いたい。
(2)日本酒、本格焼酎およびみりん二種が、酒類間の競争に対処し、わが国の世界に誇る伝統民族酒「國酒」としての地位を保持し続けるため、良質の原料米を国際価格並みで安定的に供給してほしい。