全国卸売酒販組合中央会は6月16日、第56通常総会を東京千代田区のKKRホテルで開催し、平成20年度事業報告、決算報告などを承認した。國分勘兵衛会長は、冒頭のあいさつの中で、「昨年実施された価格改定は、オープンプライス制の下での価格改定で、卸のコストと利潤を乗せる必要があり危惧していたが、初期の目標が達成できた。秋口からは一転してデフレ圧力が起こっているが、今後とも、マージンを保持する新価格を維持できるよう力を合わせていきたい」--と述べた。
また、西村善嗣国税庁国税審議官は来賓あいさつの中で、「人口減少社会の到来、国民の健康・安全志向の高まりなどにより大きく変化をしており、未成年者飲酒防止などの社会的な要請に対しても適切に対応することが求められている。また昨年は、輸入食品の農薬混入問題や事故米穀の不正規流通問題などの食の安全を脅かす事件もあり、酒類業界も少なからず影響を受けた。消費者の安全・安心に対する関心も一層高まってきた。酒類業界が消費者から引き続き信頼を得ていくためには酒類の製造から卸、小売の各段階、酒類産業全体として量から質への転換、消費者の視点などをキーワードとした取り組みが必要だ」と訴えた。
総会終了後に開かれた懇親会には、多くの国会議員も出席。伊吹文明議員は独禁法改正案が今国会で成立したことに触れ、「卸は中間にいるため両方の立場があるだろうが、小売の皆さんはこの法律の施行運営に対して大きな期待を持っている」と語った。また、野田毅議員は、「酒の物流は他の物流とは違うと言うことをしっかりと認識し対応していきたい」と述べ、酒類業界の発展に引き続き努力していく考えを示した。
國分会長あいさつ
昨年度のわが国の経済を振り返ると、前半は原油や穀物原料の値上げによる製品価格の値上げが相次ぎ、秋口からは米国発の金融不安が世界に広がり、卸もその影響を大きく受けるなど、非常に変化の大きい年であったと言える。
酒類業界は、ビール系飲料の価格改定に始まり、RTD、蒸留酒など、清酒を除く大方の酒類の価格が改定された。今回の価格改定は、オープンプライス制の下での価格改定となり、これに卸のコストと利潤を乗せる必要があり、価格の転嫁について危惧していたが、会員の努力と行政の指導、ガイドライン遵守推進本部の支援もあり、一部を除いて初期の目標が達成できた。秋口からは一転してデフレ圧力が起こっているが、今後とも、マージンを保持する新価格を維持できるよう、力を合わせていきたい。
少子高齢化による人口減少と景気の後退が重なり、消費需要の減少と低価格化が進んでおり、今後もあまり需要の拡大が期待できないため、競争の激化などにより卸の経営は圧迫され、厳しい環境が続くものと思われる。現状では、量より質を大切にする時代であり、シェアを求めて利益を度外視することはますます環境を厳しくすることになる。今後もオープンプライス制度が増加するものと思われるが、卸も各自が自分の経営を良く考え、自主性と自信を持って卸機能の充実を図り、コスト+(プラス)利潤の実現を図ることが経営を安定する上で必要なことであると思う。
独禁法の改正が本国会で可決されたことは朗報であった。これからの運用がどのようになるか注視していく必要があるが、うまく利用していきたいと思う。酒類という他の商品とは大きく異なる商品特性を持つ商品をわれわれは扱っており、今後、社会的要請を大きく受けることになるが、そのためにも普段の蓄積を大きくし、社会的要請に対応できる機能と体力を各自で維持することが大切だ。